訪問看護のこと
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訪問看護で失敗しない基本のマナー!訪問時の注意点や気をつけたいポイントも解説
訪問看護では、看護師が利用者の自宅に伺って看護ケアを行います。
病院では看護師主体でケアを進められますが、訪問看護ではそれぞれに自宅のルールが存在するため、訪問先での立ち振る舞いは非常に重要になります。マナーに欠けた対応は、場合によっては信頼関係を損なうことに繋がってしまので、基本のマナーをしっかり覚えておきましょう。
この記事では、訪問看護に興味のある人・これから訪問看護師として働く人に向けて、訪問看護における基本的なマナーについて解説します。
訪問看護未経験の方もお気軽にどうぞ!
目次
なぜ訪問看護にマナーが必要なのか?
マナーとは、お互いが気持ち良く過ごすための心遣いや礼儀、行動のことを指します。
先述した通り、訪問看護では利用者と家族の生活の場に入って看護を行うため、マナーがきちんとしていると「また来てもらいたい」と好印象を与え、信頼関係を築くきっかけにもなります。今後も継続して訪問看護を行っていくためにも、マナーは非常に大切です。
訪問前は身だしなみの見直しを行うこと
まず、訪問時のマナーについて説明する前に、身だしなみについて簡単にお伝えします。
制服 | 髪・顔・その他 |
・汚れはないか ・着崩れしていないか ・サイズが合っているか ・シミやシワはないか ・ボタンはとれていないか | ・フケや汚れはないか ・寝ぐせはないか ・髪色は極端に明るすぎないか ・長い髪はまとめているか ・洗顔、歯磨きをしているか ・メイクは自然で健康的か ・ひげのそり残しはないか ・爪は短く整えているか |
上記は一例ですが、チェックポイントの目安にしてみてください。爪は長すぎると利用者の肌を傷つける恐れがあるため、手のひらから見て爪が出すぎないように整えておきましょう。
自分の身だしなみがどう見られるのかを意識しつつ、訪問前には必ず鏡の前に立って自己チェックをしてください。事業所のスタッフなど他者に見てもらうこともお勧めです。
訪問看護師の服装や身だしなみについては、下記に詳しく解説しています。
「訪問看護師の服装を紹介!身だしなみや季節に応じて気をつける点は?」
訪問看護における5つの基本マナー
ここでは訪問看護の基本的なマナーについて5点をピックアップして紹介していきます。主に、訪問中に利用者の自宅で過ごすうえで大切なマナーとなりますので、それぞれのポイントをしっかり把握しましょう。
言葉遣いの基本は敬語
言葉遣いは基本的に敬語を使いましょう。利用者やその家族は意外にも言葉遣いと態度を細かくチェックしています。
訪問を重ねるごとに関係性が構築され、「この利用者さんはもう少しくだけた口調の方がいい」という判断も必要になっていきますが、基本は敬語ということを覚えておきましょう。
訪問バッグ・上着は床や畳の上に置く
血圧計や聴診器、記録物が入った訪問バッグは床や畳の上に置きましょう。利用者の机やソファがあっても、そこに自ら置くのは厳禁です。そのようなことをすると失礼にあたるので注意しましょう。
上着も同様で、ダウンなどかさばるものは車に置いていくか、収納できる薄手のものに切り替えて鞄に仕舞うようにします。
ケアに必要な道具を用意する際も、一声掛けてから置くようにします。仏壇のある部屋では、仏壇の前を荷物で塞がないように気をつけましょう。
私物を借りる場合は必ず声掛けをする
ケアに必要なティッシュなどは自宅で用意してもらいますが、それらをお借りする際は必ず声を掛けてから使います。
中には清拭用にバケツなどを借りることもありますが、使用後の扱いについては事前に確認しておくことが必要です。私物を使わせていただいている以上は、訪問に慣れてきても態度はわきまえた方が良いでしょう。
座る位置・座布団のマナー
利用者から指定されない限り、通常は部屋の入り口に近い下座に座ります。到着後すぐにケアに取り掛かる場合は、一言声を掛けてから自分が対応しやすい場所に座ります。
座布団が敷かれている場合は踏まないようにし、もし椅子や座布団を勧められた場合は一言声を掛けてから下座に座りましょう。立ち上がる際は、一度座布団の後ろにずれてから座布団を踏まないように立ち上がり、使用した後はお礼を伝えて元の位置に片づけます。
POINT
上座・下座が分からない場合、基本的に上座に座ることはほとんどないため、入り口に近い場所に座ることを意識しましょう。
遅刻・予定時間前の訪問は厳禁
当たり前のことですが遅刻は厳禁です。日頃から時間に余裕をもって行動するように心掛けましょう。
冬場になると車の渋滞などで到着が遅れてしまう可能性がありますが、事前に天気を確認し、早めの行動を意識します。それでも遅れてしまう場合には、分かった時点で利用者や家族に連絡をすることが重要です。
また、予定時間よりも早すぎる訪問もマナー違反です。こういった遅刻や予定時間より早く到着してしまうことが頻繁に起こると、不信感に繋がることもあります。利用者の都合によって時間変更の連絡もありますので、しっかり確認しておきましょう。
訪問時・退出時のマナー
玄関での立ち振る舞いは、気をつけていても「どうだったけ?」と忘れてしまうポイントだと思います。さまざまな決まりがありますが、ここでは基本的な部分について説明します。
訪問時に気をつけること
①上着は玄関先で脱ぐ
コートなどの上着はインターフォンを鳴らす前に玄関で脱いでおき、中表を上にして軽く畳んでから片手に持ちます。
雨や雪で表面が濡れている場合は、ハンカチ・ハンドタオルなどで軽く水気をふきとり、濡れた面を内側にしておきます。薄いレインコートであれば、畳んで持参したビニール袋に入れましょう。
②挨拶は笑顔で簡潔に済ませる
入室した際は「○○訪問看護リハビリステーションの○○です」と事業所名と名前を簡潔に伝え、素早く玄関へお邪魔します。
初めての訪問の時は「○○訪問看護リハビリステーションから参りました、看護師の○○と申します。よろしくお願いいたします」などより丁寧な挨拶を心掛けましょう。声量は大きすぎず小さすぎず、笑顔でハキハキと話すことを意識します。
③脱いだ靴は玄関の下座に置く
靴は正面に向かって脱ぎます。背中を向けて脱ぐことはマナー違反なので注意しましょう。
脱いだ後は靴をそろえるためにかがみますが、迎えてくれた利用者や家族にお尻を向けることは失礼にあたるため、少し斜めに体を向けながらしゃがんで靴をそろえます。靴は下座にそろえておきます。詳しくは下記の画像で確認してください。
独居の方が住むアパートなどでは、幅が狭い玄関もあります。その場合はマナーがあるからといって神経質になりすぎず、靴は空いている場所にそろえて置くようにしましょう。
退出時に気をつけること
①看護ケア終了後は長居せず退出する
必要なケアを一通り終えて利用者や家族から報告書にサインをいただいた後は、長居せずに退出します。なかなかタイミングが掴めない場合もありますが、時計に目をやり、「次の訪問がありますので、そろそろ失礼します」と申し出ましょう。
②脱いだスリッパはそろえたらそのままでOK
玄関ではスリッパはそのまま脱ぎ、靴を履いてからスリッパの向きを直します。訪問時と同様、体を斜めにしてお尻を向けないよう注意しましょう。
脱いだスリッパは重ねたりせず、そろえて置いておけばOKです。短く挨拶を済ませ、コート類は外に出てから羽織ります。
信頼を得やすくなる!訪問看護のマナーで気をつけたいポイント
訪問看護の基本的なマナーは、一般的なものとそう変わりません。お邪魔する立場であることを意識していれば、自然と礼儀正しい立ち振る舞いは身についていきます。
ここからは、訪問看護で意外と見落としがちなポイントについて説明します。実際に訪問していくと起こり得ることがあるので、事前に確認すると良いでしょう。
茶菓子は極力お断りする
利用者やその家族には時折お茶やお菓子をご厚意で用意してくださることがあります。とてもありがたいことですが、その厚意は受け止めつつキッパリと丁寧に断りを入れましょう。
理由としては、感染症対策やケアにあてられる時間の減少、次の訪問スケジュールの遅延などに影響するからです。
しかし、それでも出してくれる場合は頑なに拒否するのも失礼ですので、断りを入れてからいただくなど臨機応変に対応しましょう。感謝の想いを伝えつつ、次からは結構である旨を伝えておくことも必要です。
トイレは外で済ませる
訪問看護で悩ましい問題の一つに、トイレ問題があります。基本的に、利用者の自宅のトイレを借りることがないようにし、事業所などで済ませましょう。
また、普段から行動範囲内で利用できそうなトイレの場所を確認しておくと、いざというときに困ることが少なくなります。
雨・雪の日は事前に濡れない対策をする
白ゆりでの訪問時の移動手段は車ですが、駐車場の場所によっては車から家まで多少距離がある場合もあります。そのため、雨や雪の日には事前に濡れない対策をすることが必要です。
水が染みない防水の靴、折りたたみ傘やレインコートの準備はもちろん、濡れてしまった場合は玄関先で水気を拭き取るようにします。冬の時期は、靴についた雪を落とすことも忘れないようにしましょう。
利用者のプライバシーに配慮する
利用者やその家族の自宅、すなわちプライベート空間に訪問するということはプライバシーにも配慮しなければなりません。
当たり前のことですが、業務上知り得た情報は外部に漏らしてはいけませんし、話す内容についても、どこで誰がどう聞いているかわからないこと、そこから知らないうちに情報が広がっていくことを考慮しながら細心の注意を払いましょう。
訪問看護で忘れてはならないのは笑顔と挨拶
訪問看護においてコミュニケーションは不可欠。訪問時の短い時間でのやりとりから利用者のニーズを把握し、そのニーズを専門職の目線から利用者の生活に落とし込むことこそが、訪問看護師の役割だからです。
コミュニケーションの基本は笑顔と挨拶です。笑顔とハキハキとした挨拶を向けられて嫌な気持ちになった、という人はなかなかいないと思いますし、こちらとしても訪問時のやり取りがスムーズに進んだ方が良いでしょう。
白ゆりではマナーの基本を学べる「おもてなし研修」を実施
訪問看護リハビリステーション白ゆりでは「笑顔で、むすぶ、おもてなし」をモットーに訪問看護のサービスを提供しています。そのため入社時には、大切なマナーを学ぶおもてなし研修を行います。
挨拶・身だしなみ・言葉遣いといった基本的なマナーを学ぶことができ、、実際の訪問に研修で得た知識を活かすことができます。
訪問看護におけるマナーは多岐に渡りますが、これらは利用者とその家族との関係性を構築していくもの、そしていつまでも自宅で過ごしたいという利用者の想いを叶えるために必要なことです。
最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、一つひとつ確認していきながら、より良い看護を提供していきましょう。
訪問看護リハビリステーション白ゆりでは、札幌市内で訪問看護師を募集しています。詳しい求人情報は下記をチェック!職場見学会も開催していますので、興味のある方はお気軽に参加ください。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。