訪問看護のこと
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訪問看護の対象者は?どんな疾患の人が利用する?医療保険・介護保険での違いも解説
看護師は病院や施設・クリニックだけでなく、在宅でも活躍の場があります。ニュースでもよく目にすると思いますが、日本の高齢化率は世界的に見ても高く、病気や障害を抱えながら自宅で療養する方が増えているからです。そのため、在宅療養を支える訪問看護師の需要は今後さらに高まることが予想されます。
この記事では訪問看護への転職を考えている看護師に向けて、実際に訪問看護を利用する対象者について解説します。
利用者の疾患によりサービスの内容は異なりますが、医療保険・介護保険も絡む話なので、その違いについても簡単にお伝えします。また、実際に訪問看護で働いたときに役立つ、サービス提供までの流れについても触れますので、実際の働き方をイメージしながら参考にしてください。
訪問看護未経験の方もお気軽にどうぞ!
目次
訪問看護の対象者の多くは高齢者
日本訪問看護財団による「訪問看護の対象者の理解」という資料によると、年齢別に見た訪問看護利用者は幅広い年齢層であることが読みとれます。その中でも。65歳以上の割合が8割を超え、訪問看護を利用する多くが高齢者であることがわかります。
疾患については後に解説しますが、特徴としては原疾患が一つとは限らず、複数の疾患を抱えている方も多いです。また、利用者のADL(日常生活動作)は日常生活がほぼ自立できている方をはじめ、医療依存度の高い方・緊急時の対応が必要など、さまざまな方が訪問看護を利用しています。
高齢者以外の対象者は、精神疾患を抱えている方や小児などが対象です。事業所によって小児や精神疾患を抱えている方を受け入れているかどうか異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
訪問看護の対象者が抱える主な疾患は?
実際に訪問看護の対象者が抱える主な疾患を、6点ほど下記に挙げました。併せて、訪問看護師がどのようなケアを提供しているかについても簡単に説明します。
訪問看護の対象者が抱える主な疾患
脳血管疾患 | 麻痺などの障がいを抱えているため、保清の介助・内服管理・全身状態の観察・排便コントロールなど |
認知症 | 内服管理・保清の介助がメイン。日常生活が難しい場合は状況を把握し、ヘルパーと協力しながら支援 |
悪性新生物 | 痛みのコントロール・医療機器の管理・介護する家族の精神的なケアなど |
筋骨格系疾患 | 自宅の環境調整やアドバイス・リハ利日テーションなど |
統合失調症 | 内服管理・精神状態の把握・日常生活の援助など |
パーキンソン病などの神経難病 | 内服管理・排便コントロール・療養相談・保清の介助・福祉用具の提案など |
先述したように複数の疾患を抱えた方も多く、生活状況や福祉サービスの利用内容もその人によって異なるため、これらはあくまでも一例です。実際には個々の利用者に合わせたケアを提供していきます。
訪問看護を利用する方の多くが抱える疾患について、下記により詳しく掲載しています。
「訪問看護の利用者に多い疾患や割合は?実際の看護内容についても解説」
訪問看護の対象者|医療保険・介護保険の違い
訪問看護の対象者の疾患について簡単に説明しましたが、どの疾患を抱えているかによって適用される保険が異なります。病院や施設で働いている看護師にとって、訪問看護に関する保険制度を理解することは一つの壁かもしれません。
しかし、訪問看護に転職後はある程度の保険制度を理解しておく必要があります。なぜなら、訪問看護は主治医による訪問看護指示書に基づいて訪問をしますが、医療保険を使う場合と介護保険を使う場合とで訪問頻度や自己負担額が変わってくるためです。
実際、訪問看護ステーションに就労した際に困らないよう、医療保険と介護保険で違う訪問看護の対象者の特徴を簡単に押さえておきましょう。
医療保険が適用される対象者
【医療保険適用の対象者に関する基本情報】
・40歳未満の方
・65歳以上で要介護認定に該当しない方
・40~64歳未満で厚生労働大臣が定める疾病等に該当する方
・特別訪問看護指示書を交付された方
医療保険の訪問看護対象者は上記の通りです。年齢や疾病によって条件が違ってくるため判断が難しい場合もありますが、まずは基本を押さえておきましょう。
ちなみに、厚生労働大臣が定める疾病の一例は末期の悪性腫瘍・多発性硬化症・スモンなどが該当します。
介護保険が適用される対象者
【介護保険適用の対象者に関する基本情報】
65歳以上で要介護認定を受けている方で、主治医による訪問看護指示書とケアプランに基づいた訪問看護を提供
基本的な情報は上記の通りです。金額については、ヘルパーや福祉用具など、ほかの介護保険のサービスと調整して支給限度額内に収まるようにすることがほとんどです。これは、支給限度額を超えた場合は費用の全額を利用者が負担することになるためです。
国が定める16の特定疾患に該当し要介護認定を受けた40〜64歳の方は介護保険になりますが、条件があります(厚生労働大臣が定める疾患等に該当せず、特別訪問看護指示書がない場合)。
16の特定疾病の一例は末期腫瘍・関節リウマチ・初老期における認知症などです。詳しくは、厚生労働省が示す「特定疾病の選定基準の考え方」を確認してみましょう。
介護保険から医療保険の適用に変わる場合
病状の悪化や終末期、点滴や傷の処置などで頻回な訪問が必要だと判断した場合、通常の訪問で必要な訪問看護指示書のほかに、特別訪問看護指示書が交付されることがあります。
【特別訪問看護指示書の交付条件】
月に1回もしくは条件を満たせば2回まで交付可能
特別訪問看護指示書で下記の内容が可能になる(交付から14日間)
・1日複数回の訪問
・週に4回以上の訪問
※14日間を過ぎた場合、再び介護保険に戻る
訪問看護の適用保険フローチャート
これまでの説明を基に、簡易的なフローチャートを作成しました。保険適用の条件で迷った際に活用してみてください。
訪問看護のサービスを提供するまでの流れ
訪問看護では医療保険と介護保険を併用することができません。年齢や疾病などによって適用される保険が変わるのは理解できたかと思いますが、サービス提供までの流れについても、介護保険・医療保険とで若干異なるため、簡単に説明します。
どちらの保険を利用する場合でも、訪問看護は主治医の訪問看護指示書が必要です。
医療保険の場合
医療保険で訪問看護を利用する場合は、主治医による訪問看護指示書があれば契約を締結し、サービスを開始することができます。医療保険での訪問看護は説明した通り、特別訪問看護指示書の適応がない場合は1日1回、週3回が訪問回数の上限となっています。
また、関わる訪問看護ステーションも基本的には1カ所で条件を満たさない限り、複数のステーションを利用することはできません。
介護保険の場合
介護保険を新たに申請する場合、お住まいの地域包括支援センターで申請の手続きを行います。
その後、市区町村の担当者が実際に自宅に訪問して認定調査を行い、利用者の状態を確認・ヒアリング。認定調査後は、約1カ月前後で認定がおりて介護保険が利用できるようになります。以降は下記の通りで訪問看護サービスを開始します。
要支援1・2 | 介護予防ケアプランを作成し、それをもとに訪問看護を行います。 |
要介護1~5 | 介護支援専門員がケアプランを作成し、それをもとに訪問看護を行います。 |
実際に訪問看護開始時には契約を交わし、必要に応じて担当者会議が開かれます。その後、利用者に応じた回数・時間で訪問し必要なケアを提供します。
どんな疾患の利用者が多いかは事業所によって異なる場合あり
どんな疾患の利用者が多いかは事業所によって異なります。
例えば、24時間対応をしている事業所はターミナルや医療処置など緊急時の対応が必要な方が多い傾向にあり、また、小児や精神疾患の利用者を受け入れているかどうかも、スタッフの経験や人数を加味した事業所の方針によって変わってきます。
どの事業所も高齢者の利用者が多いことは確かではありますが、高齢者の訪問看護以外に自分が行いたい看護の方向性が決まっている場合は、面接などで確認しておくことをお勧めします。
訪問看護リハビリステーション白ゆりの特徴は?
最後に、白ゆりの訪問看護について簡単に紹介します。
訪問看護リハビリステーション白ゆりでは、さまざまな疾患を持った利用者の方に対応できる訪問看護を目指しております。
ある特定の分野に特化した方を看たい!という方は合わない可能性はありますが、在宅医療の分野を幅広く学びたいという看護師は、白ゆりがマッチしやすいように思います。実際に白ゆりで働く訪問看護師のインタビューも掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
在宅医療に役立つ勉強会も社内で実施しており、学びの場が多い職場です。応募の有無にかかわらず、白ゆりに興味がある、訪問看護への選択を迷っている看護師の方は、お気軽に職場見学会へご参加ください。
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訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。