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訪問看護の多職種連携とは?関わる職種と押さえておきたい連携のコツ

「多職種連携が大切なのは分かるけれど、実際にどう動けばいいのか分からない」
そのように感じたことはありませんか?
訪問看護の現場では、医師やケアマネジャー、介護職員など、さまざまな職種と連携しながら利用者さまを支えていきます。しかし、報告や相談のタイミング、伝え方に迷う場面も多く、戸惑いを感じる方も少なくありません。
本記事では、訪問看護における多職種連携について、関わる職種や円滑に連携するためのコツを解説します。「多職種連携のポイントが分からない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
2分でわかる!白ゆり訪問看護の働き方
目次
多職種連携とは

在宅における多職種連携とは、医療・介護・福祉に関わる専門職が、それぞれの知識やスキルを発揮しながら一人の利用者さまを支えていく取り組みをいいます。連携によって、地域で長く暮らし続けるための医療・介護サービスを提供することが目的です。
在宅医療では、各職種が情報を共有し、互いの役割を理解しながら共通の目標に向かって支援をしていくことが必要とされます。
在宅で多職種連携が必要な理由
在宅で暮らす利用者さまの抱える課題は多岐にわたります。疾患の管理だけでなく、生活支援やリハビリなど複数の視点からの関わりが求められるため一つの職種だけで対応するのは困難です。
近年の日本では高齢化が急速に進んだことで、医療と介護のニーズは複雑化・多様化しています。

引用:厚生労働省「地域包括ケアシステム」
こうした背景のもと、国は地域包括ケアシステムの構築を推進してきました。これは、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する体制です。
現在は2040年に向け、地域包括ケアシステムのさらなる掘り下げが求められており、他職種が連携して切れ目のない支援を届ける重要性は、今後ますます高まっていくといえます。
参考:厚生労働省「2040年に向けたサービス提供体制などのあり方 検討会 中間とりまとめ(概要)令和7年4月10日」
多職種連携における訪問看護師の役割
訪問看護師は、多職種連携の中心的な役割を担っています。
利用者さまの生活の場に最も近い存在として、日々の状態観察やケアを通じて得た情報を関係機関へ適切に共有します。また、医療・介護の専門職をつなぐだけでなく、利用者さまやご家族と各職種との橋渡し役としても機能します。
こうした役割を果たすためには、医療の知識はもちろん、介護保険制度や福祉サービスへの理解、さらに各職種の専門性や役割についての知識も欠かせません。
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訪問看護と連携する主な職種

多職種連携の中心的な存在である訪問看護師には、各専門職の特性や役割を理解することが求められます。以下に、訪問看護で連携する主な職種を解説します。
主治医|治療方針を決める司令塔
主治医は、治療方針の決定や必要な指示を出す役割を担っています。
看護師や他職種へ治療に関する情報を共有し、チーム全体が同じ方向性で支援できるよう調整するとともに、利用者さま本人やご家族に対して病状や治療内容を説明し、安心して療養生活を送れるよう支援します。
訪問看護師は、訪問時に把握した利用者さまの状態をこまめに主治医へ報告し、適切な指示を受けながらケアを提供します。さらに、状態変化や緊急時には、訪問看護師が主体的に判断して主治医へ相談・報告を行い、指示を仰ぐ場面も少なくありません。
ケアマネジャー|在宅サービス全体の調整役
ケアマネジャーは、介護保険法に基づいたケアプランの作成やサービスの調整を行うことで、利用者さまが安心して在宅生活を送れるよう支援する専門職です。
介護保険サービスはケアプランに沿って提供されるため、訪問看護師が立案する訪問看護計画もケアプランと整合性を保つ必要があります。
訪問看護師は、利用者さまの状態変化をケアマネジャーへ随時報告し、必要に応じてサービス内容や支援時間の調整を依頼します。また、訪問介護や福祉用具の導入など新たなサービスが必要と判断された場合には、ケアマネジャーへ相談し、ケアプランへの追加を検討します。
病棟・訪問診療の看護師|情報をつなぐ連携相手
病棟や訪問診療先の看護師との連携は、在宅医療を円滑に進めるうえで欠かせません。
特に病棟の看護師とは退院支援や退院前カンファレンスを通じて、入院中の経過や治療内容、在宅での注意点などを共有し、退院後の生活を見据えた支援体制を整えます。
訪問診療が導入される場合は、訪問診療先の看護師とも密に連携し、継続的な情報共有を行います。訪問診療先によっては看護師が主体的に動いているケースも多く、看護師同士での報告・相談を通じて、指示の確認や新たな対応の依頼を受けることも珍しくありません。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士|生活動作と環境整備の専門家
リハビリ職は利用者さまの身体機能の評価や、日常生活動作(ADL)の維持・向上に向けた支援を行うだけでなく、福祉用具の選定や環境調整についても重要な役割を担っています。
訪問看護ステーションにリハビリ職が在籍しているケースも多く、日常的に連携する機会の多い職種の一つです。リハビリテーションの提供のほか、ターミナルケアにおけるリラクゼーションや苦痛緩和への関わりなど、幅広い視点から利用者さまを支えます。
摂食嚥下機能に関する支援ニーズも高まっており、言語聴覚士が携わる機会も増えています。
薬剤師|服薬管理のサポーター
近年では、訪問薬剤師として在宅に関わる機会も増えており、処方薬を届けるだけでなく、服薬指導や服薬状況の確認・管理を通じ、内服管理全般を評価する役割を務めています。
訪問看護師とは内服薬の効果・副作用の有無・服薬状況などの情報を共有しながら、必要に応じて主治医へ報告を行います。
薬に関する疑問や調整が必要な場面では訪問看護師から薬剤師へ相談することも多く、専門的な視点からの助言を得られる心強い存在です。
介護職員|日常生活の変化にいち早く気づく目
介護職員は、生活を支えるうえで欠かせない存在であり、介護施設や自宅で暮らす利用者さまの日常に最も密接に関わる職種です。食事・排泄・清潔ケアといった日常生活の支援に加え、場合によっては内服の見守りを行うこともあります。
そのため、日々の関わりの中で把握した小さな変化や違和感に気づきやすく、皮膚トラブルや褥瘡の兆候など、介護職員から得られる情報は訪問看護師にとって非常に重要です。
他の訪問看護ステーション|地域で支え合う仲間
難病や特別指示書が出ている医療保険での介入ケースでは、複数の事業所が同時に関わることがあります。例えば土日に稼働していない事業所を他のステーションが補完したり、訪問枠の都合で新規依頼を他事業所へ紹介したりと、地域全体で支え合う場面も少なくありません。
地域によっては訪問看護ステーション同士で交流会や勉強会が開催されることもあり、顔の見える関係づくりや知識の共有が進められています。他事業所の看護師の視点に触れることで新たな気づきや学びを得られ、結果としてケアの質の向上にもつながります。
福祉用具職員|安全な在宅環境を整える専門家
福祉用具職員は、在宅生活を安全かつ快適に送るための環境整備を支える専門職です。転倒や褥瘡予防のために、介護ベッド・手すり・排せつ補助具・入浴補助具・歩行器などの選定や提案を行います。
退院調整の場面では、訪問看護師やリハビリ職とともに自宅環境を確認し、必要な用具の導入を検討することもあります。多様な利用者さまに関わってきた経験をもとに、ADLの状況や介護保険点数・費用面も踏まえた最適な提案ができる点が強みです。
訪問看護が関わる多職種連携の会議
在宅医療における多職種連携では、関係職種が情報を共有し、支援の方向性をすり合わせるための重要な会議があります。
こうした会議は、各職種が直接顔を合わせ、利用者さまの状況や課題を共有しながら、より良い支援方法を検討できる貴重な場となります。
訪問看護が関わる主な会議について以下で解説します。
退院カンファレンス
退院カンファレンスは、退院前に病院側と在宅側の多職種が集まり、退院後の生活や支援方法について共有・調整をする場です。
利用者さま本人とご家族も参加し、退院後の生活を具体的にイメージしながら不安の軽減や意思確認を行います。
【参加者の例】
病院:主治医、病棟看護師、退院調整看護師、リハビリ職、医療ソーシャルワーカー(MSW)など
在宅:訪問診療医、訪問看護師、ケアマネジャー、訪問介護員など
【確認事項の例】
入院時の状態・これまでの経過、退院後に必要な医療処置と実施方法、必要物品、ADLの状況、介護度、家族の介護力、キーパーソンの確認など
さらに、退院後に利用するサービスの計画についても共有し、スムーズに在宅生活へ移行できるよう調整を行います。訪問看護師は、「在宅で本当に実施可能か」という視点で関わることが重要です。
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サービス担当者会議
サービス担当者会議は、介護保険サービスにおけるケアプランの内容や支援方針を確認・共有するための会議です。
担当のケアマネジャーが主体となって進行し、利用者さまやご家族も参加することで、不安や希望を直接確認しながら支援内容を調整していきます。開催は、ケアプランの作成時や更新時など必要に応じて行われます。
退院カンファレンスと同様に多職種が関わりますが、在宅生活がスタートしてからの会議であるため、医療面においては訪問看護師が中心的な役割を担うことが多い点が特徴です。
訪問看護師は利用者さまの現在の状態や医療的な情報を共有し、ケアプランに対する専門的な意見を伝えます。また、必要に応じて介護職員やリハビリ職に対して、医療的な観点からの助言や指導を行うこともあります。
多職種連携でよくある悩み

多職種連携を進める中では、職種間の違いやコミュニケーションの難しさなど、さまざまな悩みが生じます。訪問看護師によく見られる代表的な悩みについて以下に紹介します。
報告や相談のタイミング・方法に迷う
主治医やケアマネジャーへの報告・相談のタイミングや方法に悩む訪問看護師は多くいます。適切な情報共有が重要と理解していても、実際の現場ではスムーズに連絡が取れないことも多く、判断に迷う場面が生じやすいのが実情です。
主治医やケアマネジャーは訪問診療や外出などで不在にしていることも多く、連絡をしてもタイミングが合わなかったり、折り返しを待つ必要があるケースも少なくありません。
また、「忙しい時間帯ではないか」と配慮するあまり、連絡をためらってしまうこともあります。
適切な情報の伝え方が分からない
訪問看護師が悩みやすいのが、多職種への報告や相談において「何をどのように伝えればいいか分からない」という点です。
訪問時に得たさまざまな情報を整理しきれないまま報告しようとすると、内容がまとまらず混乱してしまうことがあります。その結果、本来最も重要であるはずの情報がうまく伝えられなかったり、後回しになってしまう状況が生じることも。
特に主治医への報告は医療的判断に直結するため重要度が高く、どの情報を優先して伝えるべきか悩みやすい場面です。また、医師によって求める情報やコミュニケーションのスタイルが異なるため、その違いに迷いを感じやすい傾向もあります。
専門性の違いに戸惑う
他職種と連携する中で、専門用語や考え方の違いに戸惑うことがあります。例えば、リハビリ職が使う評価の用語や、ケアマネジャーが扱う介護保険制度の細かいルールなど、看護師として学んできた知識だけではすぐに理解しきれない場面も出てきます。
そのため、「専門的な話についていけているか不安」「的外れなことを言ってしまわないか心配」と考えてしまう訪問看護師も少なくありません。こうした戸惑いは、多職種連携に不慣れなうちは誰もが経験することです。
職種間で意見の違いや遠慮が生まれやすい
専門性の違いから意見の相違が生じやすく、それが悩みにつながることもあります。特に医療従事者とケアマネジャー・介護職員の間では、医療的な安全性を重視する視点と生活を重視する視点の違いから、意見のズレが生じることがあります。
訪問看護ステーション内においても、看護師とリハビリ職の間でそれぞれの専門性に基づいた意見の違いが起こることは珍しくありません。
職種間での意見の相違や遠慮は、多職種連携を進めるうえでの課題の一つといえます。
多職種連携をスムーズに進めるコツ

多職種連携では、先に述べたようなさまざまな悩みや課題が生じます。では、それらをどのように解決し、円滑な連携につなげていけばよいのでしょうか。
ここからは先に紹介した悩みに対応する形で、多職種連携をスムーズに進めるコツを解説します。
報告の優先順位によって連絡手段を使い分ける
報告や相談のタイミングに「これが正解」という答えはありません。主治医やケアマネジャーによって連絡方法の好みや対応スタイルが異なるため、まずは状況に応じた手段の使い分けをする意識を持ちましょう。
迷った場合は「今すぐ対応が必要かどうか」を基準に判断するか、上司に相談するのも方法の一つです。
| 状況 | 手段 |
|---|---|
| 緊急・即対応が必要 | 電話 |
| 急ぎでない報告 | ICTツール・チャットツール・FAXなど |
| 急ぎではないが重要な相談 | 直接・会議の場など |
入職後や担当変更後は、先輩への確認や同行時に「この先生にはどう連絡するといいか」を聞いておくと、その後の動きがスムーズになります。
情報共有は事実ベースで簡潔に伝える
まずは、伝えるべき情報を事実ベースで簡潔に伝えることが重要です。状態や変化をそのまま共有することで、相手も状況を正確に把握しやすくなります。
ただし時系列に沿ってだらだらと説明するのではなく、結論から伝えることを意識しましょう。そのうえで、必要に応じて経過や詳細を補足し、どのような指示や助言が欲しいのかを明確に伝えることが大切です。
他職種の役割を知り「誰に・何を」相談するかを理解する
それぞれの職種の特徴や役割を理解することも、多職種連携をスムーズに行うために重要な要素です。適切な相手に情報を共有しなければ、必要な支援につながらず、本来の目的を果たせない可能性があります。
また、他職種を理解するだけでなく、訪問看護師としての自分の役割を改めて見直すことも大切です。自分に不足している知識や視点については、他の専門職から助言をもらいながら補っていきましょう。
意見が食い違ったら利用者さまにとってのベストに立ち返る
連携時に意見の違いが生じたときは、「利用者さまにとって何がベストか」という視点に立ち返ることが大切です。これは多職種連携に限らず、訪問看護師としての基本となる考え方といえます。
専門職としての立場だけでなく、利用者さまの希望や生活背景を尊重し、「この方の生活をより良くするためにどうするか」という原点を始点に考えることが、より質の高い支援への近道となります。
多職種連携を深めるための取り組み|白ゆりの「顔出しコミュニケーション」とは

実際の訪問看護の現場では、どのように連携を深めているのでしょうか。白ゆりでは、地域のケアマネジャーと直接顔を合わせる「顔出しコミュニケーション」を積極的に行い、多職種連携を深めています。
病棟から訪問看護へ転職した看護師にとっては慣れない取り組みかもしれません。ですが実際に顔を合わせることで関係性が築きやすくなり、顔の見える関係ができることで相談しやすい環境が生まれ、利用者さまの情報共有もスムーズになります。また、「この担当者に相談しよう」と安心感を持ってもらえる点も大きなメリットです。
日々の情報共有に加え、こうした信頼関係を積み重ねていくことも、質の高いサービスの提供につながる大切な取り組みの一つといえます。
まとめ
今回は、訪問看護における多職種連携の必要性や連携を進めるうえでのポイントについて解説しました。
超高齢化社会において、医療・介護・福祉が互いに連携し合い、切れ目のない支援を提供していくことの重要性は一層高まっています。他職種がそれぞれの専門性を活かしながら関わることで、利用者さま一人一人の状態や生活に合わせたより質の高い在宅ケアが実現されます。
住み慣れた場所で、その人らしい生活を続けられるよう支えていくこと。それが、多職種連携の大きな目的です。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。