訪問看護のこと
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訪問看護師の役割とは?地域包括ケアを支える在宅医療の中心的な存在

病院から訪問看護への転職を考えている方で、「訪問看護師って実際にどんな役割を担っているの?」「病院勤務とどう違うの?」とイメージがつかめない看護師は多いのではないでしょうか。
本記事では、訪問看護師の役割や求められる考え方、病院看護との本質的な違いについて解説します。転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
2分でわかる!白ゆり訪問看護の働き方
目次
訪問看護師の役割とは

訪問看護師は、利用者さまの健康管理や生活支援を行いながら、医師やケアマネジャーなどの多職種と連携し、自宅で安心して過ごせるよう調整する役割を担っています。
厚生労働省によると、訪問看護の役割は次のように示されています。
「疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等による療養上の世話又は必要な診療の補助を行う。」
(引用:第220回介護給付費分科会資料3(訪問看護),p4|厚生労働省)
訪問看護師には以下の役割を担うことが求められています。
- 主治医の指示に基づいた、適切な医療処置や療養支援を行う
- 利用者や家族の相談に応じ、健康や生活に関する助言を行う
- 在宅医療や介護サービスに関わる多職種と連携し、円滑な支援を調整する
訪問看護の対象となるのは、新生児から高齢者と年齢層は幅広く、疾患も多岐にわたります。また、在宅療養生活を継続させるためには、普段から介護を担い、利用者さまの生活を支えているご家族へのサポートも訪問看護師にとって大切な役割です。
なぜ今、訪問看護師が必要とされているのか
日本は今、かつてない速さで高齢化が進んでいます。「2040年に向けた訪問看護のビジョン」によると、2040年には85歳以上の人口が1,000万人を超える見込みです。さらに、85歳以上の要介護認定率は50%を超え、医療と介護の両方のニーズを持つ方が今後さらに増えることが予測されています。
こうした社会の変化を受け、国は2025年を目標に地域包括ケアシステムの構築を推進してきました。
この仕組みの中で、訪問看護師は「医療と生活をつなぐ専門職」として中心的な役割を担っています。医療的視点を持ちつつ「その人の暮らし」全体を支え、療養環境の調整や健康管理を行いながら、主治医の指示のもとで医療処置を行い、多職種をつなぐ調整役でもある——そのどちらもできる職種は、在宅医療において重要な存在です。
訪問看護の需要は増加し続けている一方、担い手となる訪問看護師の数はまだ十分ではありません。転職を考えている看護師にとって、訪問看護は今まさに社会から求められているフィールドと言えます。
また今後は難病患者や障がいを持つ方、小児の在宅医療など、多様なニーズへの対応もさらに求められていくことが予測されています。
<地域包括ケアシステムとは>
高齢者や障がいのある方が要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、医療・介護・生活支援を地域一体となり提供する仕組みです。
従来の「病院で治療を受けて終わり」という考え方から、退院後も地域で継続的なケアを受けながら生活を続けるという考え方へと、医療の考え方がシフトしつつあります。
参考①:公益社団法人 日本看護協会・公益財団法人 日本訪問看護財団・一般社団法人 全国訪問看護事業協会「2040年に向けた訪問看護のビジョン~地域での暮らしを支えるために~」
参考②:厚生労働省「社会保障審議会 介護給付費分科会(第220回)訪問看護」
訪問看護師の仕事内容
訪問看護師の仕事内容は、健康管理や医療的ケア・療養上の世話・リハビリ・精神的ケアや相談支援の4つに大きく分けられます。以下が訪問看護師が担う仕事内容の一例です。
| 仕事内容 | 仕事内容の詳細 |
|---|---|
| 健康管理/医療的ケア | 服薬管理、副作用の観察、点滴・注射、カテーテル・人工呼吸器管理、診療補助、医師の指示に沿った処置など |
| 療養上の世話 | 清潔ケア、褥瘡予防、排泄介助、食事・栄養管理、住環境の整備、転倒・床ずれ防止など |
| リハビリ | 移動・歩行訓練、嚥下訓練、日常生活動作の訓練など |
| 精神的ケア/相談支援 | 終末期の精神的支援、疼痛緩和、グリーフケア、お看取り、ご家族への助言・支援、関係機関との連携など |
在宅医療の現場では、多職種が関わりながら利用者さまの療養生活を支えています。そのため訪問看護師は、常に連携を意識しながら看護を行うことを意識します。
訪問看護師が実際に行う仕事内容の詳細については、下記の記事で解説しています。
【関連記事】
訪問看護の仕事内容を解説!病棟と何が違う?現場でやることを紹介
訪問看護師の1日の流れ
訪問看護師は、所属する訪問看護ステーションで朝礼などを行った後に、利用者さまの自宅を訪問します。事業所によって多少変わりますが、始業時間8:30/退勤時間17:30と日勤帯での勤務が一般的です。
1日の訪問件数の目安は午前1~3件・午後2~3件、平均訪問件数4~6件となります。訪問時間は1件あたり30分・60分・90分が多く、ケアの内容や利用する保険が介護保険か医療保険かによっても異なります。
移動手段としては、車や自転車、バイクなどを使用し、地域の特性や訪問範囲などに応じて適切な移動手段が選択されるため、スタッフは移動時間を考慮しつつ計画的に訪問先へ向かいます。
また訪問の合間には、下記のように訪問以外の業務も行います。
- 医師への報告・相談、ケアマネジャ―との情報共有といった、医療・介護関係者との報告・連絡・相談
- 訪問看護報告書や訪問看護計画などの書類作成
- 近隣の病院やケアマネジャーへの営業活動
訪問看護の1日の流れについて詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。
【関連記事】
訪問看護の1日の流れを解説!忙しい日に気をつける点やオンコールの流れは?
訪問看護と病院看護の違い

看護の目的は「患者さまの健康維持・回復をし、生活の質を向上させること」であり、環境やアプローチが異なる病院と在宅においても、対象者の健康と生活を支えるという根本的な目的は同じです。
しかし、訪問看護と病院看護では、その目的に向けた具体的なアプローチやサービスの提供方法が異なります。
訪問看護と病院看護の大きな違いは、看護の目的・看護を提供する環境・利用者さまと接する時間の3つです。それぞれどのような違いがあるのか見ていきましょう。
訪問看護は生活の継続・病院は治療
病院看護の主な目的は、病気の治療と回復の促進です。患者さまの病状が安定し、退院できる状態になるまでのサポートがケアが中心となります。
治療が優先される病院においては集中的な治療に伴う医療処置が多く、治療をスムーズに進めるため、患者さまにさまざまな制約をお願いする場面もあります。
一方、訪問看護の主な目的は、利用者さまが住み慣れた自宅で安定した療養生活が継続できるよう支援することです。そのため、ご家族への支援も重要なケアの1つであり、地域連携や生活環境の調整といった幅広い視点で利用者さまやご家族をサポートします。
生活に根ざしたケアを行うため、「利用者さまが大切にしたいこと」を主軸に生活の質を重視した看護が求められます。
看護を行う環境の違い
病院看護と訪問看護には、それぞれ異なる環境ならではの特徴があります。
病院では、高度な医療設備、物品や衛生材料などが適切に配置され、医療・看護を提供する環境が整えられています。また、入院患者に対し、24時間体制でケアを提供できる点が強みであり、トラブルや急変があれば医師や他のスタッフに相談し、迅速な対応が可能です。
一方で訪問看護は、部屋の広さや清潔さ、使用する物品の種類や量など、訪問先ごとに環境が異なります。そのため、限られた医療機器や物品の中で、工夫しながら効率的にケアを提供する必要があります。
在宅医療の現場は、医療スタッフが常駐している病院と異なり、トラブルや体調変化があってもすぐに駆けつけることができません。そのため、利用者さまやご家族の不安を軽減するためも事前の指導や相談対応が重要になります。
利用者さまに接する時間や期間の違い
看護師が患者さまや利用者さまと接する時間や関わる期間は、訪問看護と病院看護で大きく異なります。
病院看護では交代制で看護が行われるため、1人の患者さまに複数の看護師が関わります。また、病院では看護師1人あたりが担当する患者数が多いため、個々の患者さまにかけられる時間は限られます。
期間は病院の特性によって異なり、例えば急性期病院では、数日から数週間と短期間の入院が多く、治療を終えれば退院や転院となります。一方、慢性期病棟や療養病棟では長期入院もありますが、「治療が終わるまで」の関わりが基本です。
このように、病院では治療が優先されるため、患者さまの生活背景に深く寄り添う機会は少ないのが特徴といえるでしょう。
訪問看護の場合では、1回の訪問時間は30分〜90分程度、訪問頻度は週1回から毎日までと利用者さまの状態に応じて異なります。関わる期間は比較的長く、数カ月から数年にわたり支援を行うこともあり、終末期ケアでは最期のときまで寄り添います。
基本的に1対1の関わりとなるため、利用者さまとじっくり時間をかけて向き合うことができるのが特徴です。
訪問看護への転職を考えるとき、「自分に向いているかどうか」は気になるポイントのひとつではないでしょうか。白ゆりで働くスタッフが、訪問看護に向いている人の特徴について語った座談会記事も、ぜひ合わせてご覧ください。
【関連記事】
訪問看護はどんな人に向いている?白ゆりスタッフのリアルな声をお届けします
訪問看護師の働き方を知るには見学会の参加がおすすめ

訪問看護に興味はあるけれど、実際の働き方や職場の雰囲気が分からず、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。そんな方には、職場見学会や面談に参加することをおすすめします。
職場見学会では、訪問看護の流れや業務内容を知るだけでなく、現場の雰囲気や職員の働き方を実際に見ることができます。実際に職員と話すことで、自分に合った働き方が具体的にイメージしやすくなるでしょう。
訪問看護で働き始めてからギャップを感じることがないよう、事前に職場見学や面談でしっかり確認することが大切です。訪問看護の世界に一歩踏み出すために、まずは気軽に見学会や面談に参加してみませんか。
訪問看護リハビリステーション白ゆりでは職場見学会を実施中
当ステーションでは、毎週火曜日に職場見学会 を開催しています。見学会では、白ゆりの働き方や給与、待遇について 職員が詳しくご説明します。
訪問看護に興味のある方や転職を考えている方、「ちょっと話を聞いてみたい」という方でも大歓迎です。職場の雰囲気を実際に感じていただける機会ですので、ぜひお気軽にご参加ください。
職場見学会への参加を検討している方は、事前に下記の記事も参考にしてみてください。見学時のチェックポイントや服装など当日に役立つ情報のほか、白ゆりの見学会に参加した方の声をまとめています。
▶ 【転職者向け】訪問看護の見学ガイド|チェックすべきポイントや服装は?
▶ 採用情報はこちら
まとめ
訪問看護は、利用者さまの生活に寄り添いながら看護を提供できるやりがいのある仕事です。
仕事内容は、健康管理や医療処置、リハビリ支援、終末期ケアなど多岐にわたり、病院看護とは違った視点や判断力が求められます。そのため、看護師としての対応力や判断力も鍛えられ、大きく成長できる環境といえるでしょう。
訪問看護を経験すると、一人ひとりとじっくり向き合った看護ができ、病院では見えなかった利用者さまの生活が見えたりと新たな視点が広がります。
「もっと患者さんと深く関わりたい」「病院以外の看護を経験してみたい」と感じたら、訪問看護の世界をのぞいてみませんか?新しい挑戦が、あなたの看護の可能性を広げるかもしれません。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。