訪問看護のこと
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訪問看護への転職の不安を軽減!事前に勉強しておくことや学習方法を紹介

訪問看護と病院で大きく異なるのは、看護師が自ら利用者の居宅へ訪問し、サービスを提供するという点です。そのため、病院から訪問看護へのキャリアチェンジを検討したとき、環境の大きな変化に不安を感じ、事前に勉強しておきたいと考える方も多いでしょう。
本記事では、訪問看護への転職を目指している方や初心者の看護師に向けて、事前に勉強しておくと良い知識やスキル、効果的な学習方法を紹介します。
この記事を読むことで、訪問看護に必要な準備が明確になり、不安の軽減やスムーズな転職の第一歩を踏み出す手助けとなるはずです。
訪問看護未経験の方もお気軽にどうぞ!
目次
訪問看護について事前に学ぶべき理由

訪問看護は、限られた時間と資源の中で、看護師が単独で判断して対応する場面が多くあります。ただし、訪問看護未経験者がすぐに独り立ちすることはなく、一定期間は先輩との同行訪問や研修を通して、業務に慣れていきます。
最初はわからないことが多く、不安が強くなると思います。それでも、事前に在宅に必要な知識やスキルを勉強しておくことで効率的に理解を深めることができ、安心して訪問看護師としてのスタートを切りやすくなるでしょう。
また、今後も在宅医療のニーズが高まる中、訪問看護の知識はキャリア面で活かせることが多いので、転職検討中の方にとっても学ぶメリットは大きいと言えます。
訪問看護の転職前に勉強しておきたいこと
訪問看護は、利用者一人一人とじっくり向き合えるやりがいのある仕事ですが、病院とは違った環境での知識や対応力が求められます。そのため、以下の5点を中心に勉強しておくと安心です。
基礎的な看護技術の再確認
訪問看護では、利用者の家にあるものでなるべくお金をかけず、安全に看護技術の提供をする応用力が必要となります。そのため、基礎的な看護技術の知識を再確認しておきましょう。主なポイントは以下の3点です。
- フィジカルアセスメント
- 在宅は生活環境・家庭環境・社会環境の視点も重要
訪問看護は、幅広い年代や疾患を抱える利用者が多いため、基本的なフィジカルアセスメントの技術が必要になります。
- 一般的なスケールの理解
- 意識レベルの評価(JCS、GCS)
- 痛みの評価(フェイススケール、NRS)
- 褥瘡の評価(DESIGN-R※2020年改定、NPUAP分類など)
利用者の状態をスタッフ間や医師とスムーズに共有するために、訪問看護では一般的なスケールを用います。
- 訪問看護でよくある処置の再確認
- カテーテル管理、褥瘡処置、点滴管理、ストマ管理、インスリン管理、排泄管理(浣腸など)、PEG管理、吸引、在宅酸素管理など
訪問看護でも、病院で行う機会の多い基本的な医療処置の技術を活用します。
訪問看護のアセスメントについては以下の記事でも紹介しているので、合わせて参考にしてください。また、在宅のアセスメントに関する書籍は多数出版されているので、1冊は用意しておくと良いでしょう。
【関連記事】
訪問看護のアセスメントに重要な4つの視点とは?多角的な判断がカギ!
利用者に多い疾患を把握する
訪問看護の利用者の多くは高齢者が占めていますが、小児や若年~中年の利用者も一定数いるため、年齢層によって対応する疾患も異なります。代表的な疾患については、把握しておきましょう。
年齢層 | 主な疾患例 |
高齢者 (70代~) | 認知症、脳血管疾患、慢性心不全、不整脈、悪性腫瘍、COPDなどの呼吸器疾患、筋骨格系疾患 など(※中年層の疾患も含む) |
中年層 (40~60代) | 悪性腫瘍、糖尿病、腎不全、統合失調症、パーキンソン病 など |
小児・若年層 (0~30代) | 先天性疾患、重症心身障がい児、発達障がい、神経難病 など |
訪問看護の利用者に多い疾患についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【関連記事】
訪問看護の利用者に多い疾患や割合は?実際の看護内容についても解説
訪問看護サービスの仕組みや保険制度

訪問看護師として働くうえで、サービスの仕組みや保険制度に関する基本的な知識は欠かせないため、事前に学んでおくことで現場での理解がしやすくなります。
訪問看護サービスを利用するには、医療保険または介護保険のいずれかが適用されます。
例えば、「このサービスを利用するには、医療保険と介護保険のどちらが適用されるのか」「訪問回数や提供できる内容に制限はあるのか」といった知識が求められる場面も多く、制度を理解していないと、戸惑いや対応の遅れにつながることがあります。
看護師は、利用者や家族への説明や相談にも対応するので、保険制度の全体像や自己負担の割合、医師の指示書の役割などを最低限把握しておくことで、安心して業務に取り組むことができます。
もちろん、細かい部分は入社後に少しずつ覚えていけば大丈夫です。まずは「どのような制度のもとで訪問看護が成り立っているのか」という基本を押さえておきましょう。
介護保険で利用可能なサービス
訪問看護の現場では、介護保険を利用する方と関わる機会が多いため、介護保険で利用可能な訪問看護を含む在宅サービスの種類や役割を、大まかに理解しておくことが望ましいです。
要介護認定を受けた利用者にはケアマネジャーが付き、介護サービスのプランを作成します。ケアマネジャーは多職種間の連携を調整するための重要なポジションなので、その役割や業務内容についても知っておくと良いでしょう。
また、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具の貸与・購入といった、介護保険で提供される主なサービスの概要や、要介護度によって異なるサービス利用限度額の仕組みも、基本的な知識として理解しておくと役立ちます。
すべてを事前に覚える必要はありませんが、サービスの全体像を掴んでおくことで利用者や関連職種とのコミュニケーションがスムーズになります。
基本的なマナー
訪問看護では、利用者の自宅というプライベートな空間にお邪魔して看護を提供するため、病院以上に丁寧で思いやりのあるマナーが求められます。入職前の段階で、あいさつ・身だしなみ・言葉遣い・基本的な礼儀などを改めて意識しておくことが大切です。
また、実際の訪問看護では、利用者や家族のプライバシーに配慮し、個人情報や家庭内の事情について他言しないことはもちろん、各家庭のルールや生活スタイルを尊重する姿勢が信頼につながります。
こうしたマナーの積み重ねは、利用者との信頼関係を築く第一歩です。笑顔や挨拶といった基本的なふるまいが訪問看護では大切になります。
訪問看護に必要なマナーや具体的な内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
【関連記事】
訪問看護で失敗しない基本のマナー!訪問時の注意点や気をつけたいポイントも解説
訪問看護における効果的な勉強方法

訪問看護について効率よく学ぶには、実践に直結する内容を優先的に押さえることが大切です。まずは、介護保険制度やサービスの仕組み、主な対象疾患について基本的な理解を深めましょう。
ここでは、訪問看護を目指す方や現場での実践力を高めたい人に向けて、効果的な勉強方法を3つ紹介します。また、当社サイトでも訪問看護に役立つ知識を多数掲載していますので、合わせてご活用ください。
eラーニングで学ぶ
eラーニングは、訪問看護に必要な知識や技術をオンラインで学べる教育ツールです。保険制度の仕組み、主な疾患や医療処置、マナー、記録の書き方など、訪問看護の現場で役立つ内容を幅広くカバーしています。
パソコンやスマートフォンから時間や場所を選ばず学べるため、働きながらスキルアップしたい人に合った学習方法になります。
特に「日本訪問看護財団」が提供する訪問看護eラーニングは有料ではあるものの、現場対応力を高めるための基礎作りとして多くの看護師が活用しています。
参考:日本訪問看護財団「訪問看護eラーニング~訪問看護の基礎講座~」
研修会やセミナーに参加する
訪問看護に関する研修会やセミナーは、オンライン・対面の両方でさまざまな団体が開催しており、全国訪問看護事業協会や日本訪問看護財団の研修のほか、訪問看護ステーション関連団体(協議会など)や自治体などが主催するセミナーもあります。
これらのセミナーは、訪問看護全般よりも「看取り」や「緩和ケア」などあるテーマに特化した実践的なものも多く、専門的な知識を深めたい人にも適しています。
参考:
日本訪問看護財団公式ウェブサイト
全国訪問看護事業協会公式ウェブサイト
実際の仕事内容を知るには見学・説明会の参加がお勧め
厳密には「勉強方法」ではありませんが、実際の仕事内容や働き方、職場の雰囲気を知りたい場合は、訪問看護ステーションの説明会や見学会に参加してみましょう。
現場で活躍するスタッフと直接話すことで働くイメージが具体的になり、不安を解消しやすくなるほか、現場で働く人の“本音”を聞ける貴重な機会にもなります。
【説明・見学会のチェックポイント】
① 職場の雰囲気
② 1日の仕事の流れや訪問件数
③ 新人へのサポート体制
④ 記録の方法(紙かタブレットか)
⑤残業の有無や有給の取りやすさ
複数の事業所を見学して比較することも重要です。それぞれのステーションで雰囲気や業務体制は異なるため、比較することで自分に合った職場を見つけやすくなります。ぜひ、色々な訪問看護ステーションを見学してみてください。
白ゆりでは職場見学会を実施中!入社後も安心の教育体制でしっかりサポート
訪問看護リハビリステーション白ゆりでは、毎週火曜日に職場見学会を開催しています。見学会では実際に働く看護スタッフが、仕事内容から1日の流れ、オンコールの実態、福利厚生など、気になるポイントを丁寧に説明し、不安に感じやすい点も包み隠さずお伝えします。
また、入社後は未経験の方でも安心してスタートできるよう、最大約3カ月間の研修制度を整えています。訪問看護の基礎知識や介護保険制度の理解、オンコール対応、同行訪問による実地指導など、実務に必要な内容を段階的に学べる体制です。
ぜひ一度、職場見学会にお越しいただき、白ゆりの魅力を体感してみてください。
まとめ
今回の記事では、訪問看護で事前に勉強しておきたい内容や、効果的な学習方法について解説しました。
訪問看護はやりがいのある仕事ですが、病院とは違った知識や能力が求められるため、在宅に必要な知識やスキルをあらかじめ学んでおくことで入職後の不安の軽減につながります。
また、訪問看護で応用力が必要な場面が多く、基本的な手技を振り返るだけでも有意義な学びになります。在宅では、利用者の状態や生活環境によって対応が変わることも多いです。あまり気負わず、少しずつ経験を積みながら学んでいく姿勢が重要になります。
この記事が、訪問看護に関心のある方や転職を検討している方の不安を少しでも和らげ、安心して新たな一歩を踏み出すきっかけになればと思います。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。