訪問看護のこと
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訪問看護師になるには?必要な資格や求められるスキルについて解説
看護師として働きながら在宅医療に興味を持ち、訪問看護師への転職を考える中で「訪問看護師になるには特別な資格が必要なの?」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
本記事では、訪問看護師になるために必要な資格や求められるスキルについて分かりやすく解説します。
利用者の在宅生活を支える働き方に興味があり、訪問看護師になるにはどのよう資格やスキルが求められるのか知りたい方は、ぜひご覧ください。
訪問看護未経験の方もお気軽にどうぞ!
目次
訪問看護師とは?
訪問看護師は、医師の指示のもと利用者の自宅に伺い、安心して在宅療養が継続できるよう病気や障がいに応じた支援を行う看護師のことです。
訪問看護を利用する方の多くは高齢者ですが、地域で暮らす子どもから大人まで、訪問看護を必要とする方がサービスの対象になります。
訪問看護師の仕事内容や役割
具体的な仕事内容としては、病院のように点滴や注射、傷の処置などの医療処置を行うだけでなく、家族や利用者自身では難しい保清の介助・薬の内服管理、在宅での看取りなどにも対応します。
看護だけではなく、利用者が安心して在宅生活を送れるよう利用者の話をじっくり傾聴しながら生活状況を把握し、利用者の意思を尊重しながら精神面や家族へのケアも行っていきます。
そのため、訪問看護師は利用者の在宅療養において大きな役割を担います。
また、在宅療養に携わるさまざまな在宅サービス事業者やケアマネージャー・主治医など多職種との関わりも非常に重要で、必要に応じて連携を取りながら利用者の生活維持に努めることも、訪問看護師の役割の一つです。
訪問看護師の需要は?
総務省統計局の調査によると、2023年度時点で総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は29.1%と前年(29.0%)から上昇し、過去最高となりました。この割合は2040年には34.8%になる見込みで、日本の高齢化はますます進む傾向にあります。
少し古い資料ですが、2017年に厚生労働省が発行した「在宅医療の最近の動向」によると、国民の6割以上が「必要であれば医療機関等を利用しながら自宅療養をしたい」と回答しています。
そのため、在宅医療を支える訪問看護師の需要は今後も高まっていくことが予想されます。
参考:総務省統計局「統計トピックス№138統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
参考:厚生労働省「在宅医療の最近の動向」
訪問看護師になるために必要な資格や経験
ここからは、訪問看護師に必要な資格や持ち合わせておくと良い経験について解説します。訪問看護ステーションによって必要な資格や経験は若干異なるので、転職を検討する際は事前に確認することをお勧めします。
看護師の国家資格が必要
訪問看護師になるには、看護師の国家資格が必要です。ほかに特別な資格は必要ありませんが、ステーションによっては採用事項に臨床経験年数を提示している場合もあります。
中には新卒や准看護師の資格でも積極的に採用を行うステーションもあり、若手看護師の活躍の場も広がっています。
訪問看護師になりたい方は、ステーションの雰囲気や教育体制、募集要項を確認しながら転職活動をするのが良いでしょう。
病院での臨床経験はあると望ましい
病院での臨床経験は必須ではありませんが、訪問看護では3〜4年程度の臨床経験があった方が望ましいです。
訪問看護師は基本的に1人で利用者宅に伺います。そのため、1人で急変時に遭遇することも少なからずあり、その場合は病院での臨床経験があった方が気持ちに余裕が生まれます。
訪問看護の現場は病院と違い、場所や使える医療資材も限られています。病院での臨床経験を活かすには、現場の状況に合わせて臨機応変に対応していくことが重要になります。
そういった理由から病院での臨床経験を必須項目としているステーションもあるので、希望するステーションがどれくらいの臨床経験を求めているのか事前に調べておきましょう。
訪問時の移動手段によって運転免許証必須の場合あり
訪問看護ステーションでは、車・バイク・自転車・公共交通機関などの移動手段を使って利用者の自宅に訪問します。
住んでいる地域の気候・市街地か郊外かなどの地域性によって移動方法は異なりますが、車やバイクを使用する場合は運転免許証の所持が必須となります。
運転に不安がある方は、希望のステーションの移動手段を事前に確認しておきましょう。
訪問看護師に求められるスキル
訪問看護ステーションに転向する看護師の中には、病院に勤務していた看護師も多くいます。そのため、訪問看護師は病棟看護師とで求められるスキルに違いがあるのか知りたい方もいるのではないでしょうか。
訪問看護師は、病院での看護技術に加えて高いアセスメントスキルやコミュニケーションスキルが重要になります。
病院と在宅では、対象となる利用者の年齢層や使用できる医療機器、看護を提供する場所に違いがあるため、コミュニケーションをとりながら適切に状態を観察し、症状に合った処置を施す必要があるからです。
それでは、具体的にどのようなスキルが訪問看護師に求められるのか解説します。
医療処置スキル
病院では担当の科によって疾患が限定される場合もありますが、訪問看護では子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方が対象で、その方々が抱える疾患やステージも多種多様です。
実際、訪問看護で行われる医療処置の例は下記の通りとなります。
・褥瘡などの創傷処置や予防
・膀胱留置カテーテルの管理
・排便コントロール
・在宅医療機器の管理
参考:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会第220回資料3 訪問看護」
訪問看護では病院のように設備が整っているとは限らないため、利用者の自宅にあるものを代用するなど、身体の状態に合った方法を検討する必要があります。
そのため、幅広い医療処置スキルを備えていれば、さまざまな場面に対応できる可能性が高まるでしょう。
日常生活をサポートする看護スキル
訪問看護師の役割は「利用者がその人らしく暮らせるよう支援する」ことです。医療処置のスキルも重要ですが、日常生活をサポートする看護スキルも必要になります。
特に行うことの多いケアは下記の通りです。
・療養に関する相談
・服薬のサポート
・食事面での支援
・排せつの介助
・入浴や清拭などの保清
・リハビリ
これらの経験はあった方が望ましいですが、必須のスキルではありません。
経験が浅く不安な方は、ステーションで実施する研修などで指導を受け、何度も訪問を繰り返すことで少しずつスキルを身につけていくと良いでしょう。
多面的な視点が求められるアセスメントスキル
訪問看護師に必要なスキルの一つにアセスメントスキルが挙げられます。訪問看護では、具体的に下記3つの視点からアセスメントします。
【訪問看護のアセスメントで重要な3つの視点】
身体状況の把握:バイタルサインの変化や全身状態の観察
生活状況の把握:睡眠・食事内容など日常生活が安心して送れているかの確認
精神状態の把握:身だしなみの様子や表情から精神状態を把握
この3つの視点に加え、家族の介護負担が大きくなっていないかも確認します。
このように、限られた時間の中で利用者とその家族の状態を多面的に把握することが必要なため、訪問看護では質の高いアセスメントスキルが求められるのです。
コミュニケーションスキル
訪問看護において、コミュニケーションスキルは非常に大切なスキルの一つです。
認知能力の程度や利用者と家族の関係、今までの人生観などの背景を会話から把握することで、看護師が提供する看護の質も高くなります。
さらに、表情やしぐさなどに変化がないか、言葉以外にも注目しながらコミュニケーションをとることも重要です。
訪問看護の利用者は幅広い年齢層の方が対象です。年齢に関わらず、敬意を払った口調と態度で接し、住み慣れた環境で安心して過ごせるよう些細な変化に留意しながら、相手を理解しようとする姿勢が大切になります。
臨機応変な対応力
訪問看護では臨機応変な対応力が求められます。なぜなら、訪問時に予期せぬ状況が起こった場合は1人で対処しなければならないことが多いからです。
利用者との日々の関わりを通し、今ある環境の中でどのようなことが起こる可能性があるのかを予測しながら行動していると、不測の事態が起きてもスムーズに対処しやすくなります。
訪問看護師になるには?職場見学会に参加してみる
訪問看護師は対面でのコミュニケーションスキルや高いアセスメントスキルなどが求められるため、大変さも感じる職種です。ですが、一人一人に向き合った看護がしやすいといった魅力もあります。
訪問看護に少しでも興味がある方は、職場見学会に参加してみるのも方法の一つです。
白ゆりでは毎週火曜日に職場見学会を実施しています。働き方や福利厚生など、実際に白ゆりで働くスタッフが丁寧に説明するので、自分の想像と比較しながら検討してみてください。
まとめ
今回の記事では、訪問看護師になるために必要な資格や求められるスキルについて分かりやすく解説しました。
訪問看護は利用者の生活の場に赴き1人でケアを行うため、コミュニケーションスキルやアセスメントスキル・臨機応変な対応力などが非常に大切です。
病院と異なる点もありますが、一人一人の利用者の生活に寄り添った看護に興味がある方は、やりがいを持って働けるのではないかと思います。
ぜひ、就職・転職先の候補の一つに訪問看護を加えてみませんか?
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。