訪問看護のこと

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訪問看護で働くメリット・デメリットは?やりがい、きついと感じる理由も解説

訪問看護で働くメリット・デメリットは?やりがい、きついと感じる理由も解説

訪問看護は、利用者1人に向き合った看護がしやすいというメリットがある一方で、看護師1人で判断しなければならない場面が多く責任が重いといったデメリットもある仕事です。

この記事では、訪問看護で働くメリット・デメリットについて詳しく解説します。訪問看護ステーションで働いてみたいと考える看護師は、転職の参考にしてみてください。

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訪問看護の働き方の特徴は?

働く訪問看護師

訪問看護は、自宅や施設で療養する利用者のもとへ看護師が伺い、必要な医療ケアを提供するサービスです。日勤帯での勤務が中心のため、子育てや体力的な負担を軽減したいといったライフスタイルに合わせた働き方が可能です。

病院での看護と基本的なケアは変わりませんが、1人の利用者に対して一定の時間を確保して看護ができることから、一人ひとりに深く関わりたいという思いを抱いて訪問看護を選ぶ看護師も多くいます。

一方で、判断力や応用力、高いコミュニケーション力が求められることから「ベテラン看護師が働く場所」というイメージを持たれることも少なくありません。しかし、近年は在宅医療のニーズの高まりもあってか若い世代の看護師も活躍しており、訪問看護は今後も需要の高い職業と言えます。

訪問看護で働くメリット

訪問看護で働くメリット

実際に訪問看護で働くメリットはどのようなものがあるのか、詳しく説明します。

夜勤がなく日勤帯で働ける

訪問看護は基本的に日勤帯で働くことができ、夜勤はありません。休日もほとんどのステーションが土日休みなので、病院のようにシフト制・夜勤で生活リズムが崩れるということも少なく、こういった理由から子育て世代に選ばれやすい職種です。

ただし、訪問看護にはオンコールがあります。夜間や休日に交代制でオンコール対応をするのが一般的です。

日勤のみの職場の中では比較的給与水準が高め

夜勤のメリットといえば、高収入が得られることです。訪問看護は夜勤のある働き方よりも給与は低くなってしまいますが、それでも日勤のみで働く看護師の職場のでは給与水準が高めに設定されています。

看護師が働ける日勤のみの仕事には、訪問看護のほか、クリニックや福祉施設などがあります。それぞれの平均給与については以下の表を参照下さい。こちらは全国平均の平均給与なので、地域により異なる場合があります。

職種平均給与
病院(夜勤あり)386,046円
訪問看護ステーション367,775円
クリニック354,563円
介護施設346,236円

参照:日本看護協会「日本看護協会調査研究報告<No.98>2022 2021年看護職員実態調査

このように、訪問看護は平均的に見ても給与が高めに設定されていることがわかります。

じっくり向き合った看護ができる

看護師として働いていると、相手と向き合うことの大切さを実感する場面が幾度となく訪れます。しかし、病院では業務に追われて思うように患者と向き合うことが難しい場面があり、もどかしさを感じることが多いかもしれません。

訪問看護は利用者の生活に寄り添い、じっくり時間をかけながら信頼関係を築いていきます。積極的な治療ではなく、利用者や家族の意思を優先した看護を提供し、「対患者」ではなく「対人」として向き合った看護が実践しやすいです。

在宅ならではの看護スキルが身に付く

訪問看護では、心身の調子や病状の変化、生活の変化などを把握する高い観察力や、利用者や家族、多職種との連携によりコミュニケーション力が身に付きます。

在宅は病院のように高度な医療スキルを発揮する機会は少ないですが、設備が整っていない中での看護処置は知識と経験を重ねることにより、家にある日用品で代替したりと臨機応変に対応するスキルも磨かれます。

高齢者社会が進むことで、今後も在宅医療のニーズはますます高まります。つまり、訪問看護は時代に合った経験を積むことができるため、看護師としての技量も評価されやすくなるでしょう。

訪問看護で働くデメリット・大変さ

メリットも多い訪問看護ですが、デメリットもあります。それぞれ説明します。

オンコール対応がある

訪問看護は夜勤がない代わりに、夜間や休日にオンコール対応があります。

オンコールは、担当の看護師が専用の携帯電話を持って自宅待機し、利用者や家族からの電話に対応する業務です。一般的にはスタッフが交代制で対応するため、各ステーションの就業人数によっては月数回〜数十回くらい当番が回ってきます。

いつ電話が鳴るか分からない、1人で対応できるか分からない。そういった不安から、訪問看護のオンコールを負担に感じる看護師は多くいます。ですが、オンコールは鳴ったら必ず利用者の自宅に訪問するわけではなく、電話対応で解決できる場合も多くあり、2023年3月の資料によると、オンコールの待機5~9回が全体の17.9%と最も多く、緊急訪問の回数は4回以下が32.8%と記載されています。

また、入職してすぐにオンコールを任されることは無く、ある程度利用者を把握し、訪問看護の動きがわかるようになったと先輩看護師が判断してからになります。不安が強く自信がない場合には、1人で抱え込まずに先輩に相談しましょう。

参照:日本看護協会「2024年度診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査 P22~23

訪問看護のオンコールについては下記の記事で詳しく説明しているので、参考にしてみてください。
訪問看護のオンコールとは?内容や頻度、事例についても解説

1人で判断する責任が重く感じる

訪問看護は基本的に、看護師が1人で利用者の自宅に訪問します。病院では判断に困った際にはすぐにほかのスタッフに相談できましたが、訪問看護はそうではないために不安を覚え、責任が重いと感じる人は多いと思います。

ですが、訪問看護に就職したからといってすぐに1人で訪問するというわけではなく、独り立ちするまでの間は先輩看護師と同行訪問します。その間に、訪問看護における基礎的な立ち回りを確認しておくと良いでしょう。

さらに、判断に悩む状況に遭遇した場合は、電話やチャットツールで相談することができます。訪問看護はチームプレイなので、難しい場面では1人で判断せず周りの意見を確認しながら、少しずつ訪問看護に慣れていきます。

高いアセスメントスキル・コミュニケーションスキルが求められる

療養生活を送る環境は利用者によって異なるため、訪問看護のアセスメントでは心身の健康状態にプラスして、日常生活の変化や住環境までを見る必要があります。

さらに、より正確に利用者の状態を判断するためにはコミュニケーションスキルも必須になり、多角的な視点が求められます。

高度な医療処置スキルを発揮する場は少ない

訪問看護は、在宅で療養可能であることが前提になるため、高度な医療処置が必要な利用者はそう多くありません。そのため、医療処置スキルを発揮する機会は病院よりも少なくなります。

また、利用者の疾患も多岐に渡るため、ある特定の分野についてスキルを発揮するということも訪問看護では難しい可能性があります。

病院ほど教育体制が整っていない

病院では、一から新人看護師を育てる教育体制が整っていることが多いですが、訪問看護では決まった教育プログラムやラダーがないところも珍しくありません。

というのも、訪問看護は看護技術の応用という側面があるため、ある程度の実務経験を求める事業所が多いからです。特に小規模な事業所では、人員的に教育に力を入れられないということがあり、かつ、現場を通して学んでもらうというスタイルが多いイメージです。

現在では、訪問看護の需要の高まりもあり、OJTをマニュアル化して新人教育に力を入れる事業所も増えてきました。ですが、病院と比較してしまうと教育体制に課題が多いのが現状です。

訪問看護がきついと感じる理由

訪問看護の働き方がきついと感じる理由

訪問看護は、オンコールや一対一での対応の難しさから、働くのがきついというイメージを持っている人もいます。

では、訪問看護で働くのはきついと感じやすい理由は何でしょうか?それは、想像と現実にギャップが生まれやすいからです。病院との働き方とのギャップ、訪問看護に対するイメージとのギャップ。この2つに対する戸惑いが大きく、「訪問看護はきついな」と感じやすくなってしまいます。

1人にじっくり向き合えると言っても、実際には訪問スケジュールに沿って行動しなければならないため思ったよりも忙しいですし、新しいことを覚える苦労や、1人で考えてケアを行わなければいけない不安感が負担になってしまう看護師も少なくありません。

それでも、長く訪問看護を続けている看護師がいるのは、訪問看護には訪問看護だけの魅力があるからです。最初は苦労する場面も多いですが、先輩看護師の動き方を参考にしながら少しずつ慣れていこうという姿勢を持つことが大切です。

訪問看護で働くやりがいは?

訪問看護は大変ですが、とてもやりがいのある仕事です。

住み慣れた自宅で、利用者が望む生活をできるだけ長く維持していくことを考えて支えていくのは難しいですが、その分1人の看護師として自分の存在を感じながらケアをすることができます。利用者にとって「自分は必要とされている」と実感が持てる瞬間は、大きなやりがいに繋がります。

その人が療養生活の中でした選択を実現するためにどうしていくかをスタッフ同士で話し合い、その都度対策を考えていくことは学びも多く、看護師としての成長も感じられるでしょう。

まとめ

今回の記事では、訪問看護で働くメリットとデメリットについて解説しました。病院とは異なる点も多く不安があると思いますが、「一人ひとりとじっくりと向き合い個別性のある看護をしたい」と考えている方にとって訪問看護はとてもやりがいを感じながら働くことができるはずです。

また、「夜勤が辛い」「子育てとの両立をしながら看護師をしたい」といった理由での転職を考えられている方にとってもメリットとなる情報も多かったのではないでしょうか。

少子高齢化の加速と療養費の軽減、患者のニーズにより、日本では病院から在宅への傾向が強まっています。そのため訪問看護のニーズは年々上昇しており、10年前と比べても訪問看護事業所の数は2倍以上に増えています。つまり、訪問看護は今後も需要が高い看護の働き方であると言うことができます。

メリットもデメリットも含めて訪問看護への理解を深めることにより、今後の働き方の一つの選択肢として訪問看護を考えていただけたらと思います。

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編集部

訪看オウンドメディア編集部

訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。

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