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地域とゆるやかにつながる場所へ。訪問看護リハビリステーションが開く健康体操教室

訪問看護は、その人が病気を抱えながらも住み慣れた場所で生活を続けていくためのサービスです。病気が悪化しない状態を維持し、自分でできることを増やしていくを目的としていますが、利用者さまの声を聞くたび、日々の健康を維持することの難しさをひしひしと感じます。
自分の健康に向き合ったときに何をすればいいのかわからなかったり、結局、運動習慣が身につかないという悩みはよくあるものです。体力の衰えを感じやすい高齢の方は、さらに顕著なのではないでしょうか。
そんな方に向けた取り組みとして、「訪問看護リハビリステーション白ゆり南郷」では毎週木曜日に無料の健康体操教室を実施。約5年前に初めて教室が開かれて以来、地域で暮らす高齢者の健康を促す活動を継続してきました。
今回の記事では、とある日の健康体操教室の様子をお届けします。
2分でわかる!白ゆり訪問看護の働き方
毎週木曜日。地域の方が集う訪問看護ステーションの風景

編集部が伺ったのは2月の初め。札幌市によると、今冬は路面凍結による転倒事故が過去10年で最多だそうです。この日も、歩道のあちこちにつるつるとした氷が張っていました。
教室の開始時間は13時15分。早い方は12時40分ころには南郷ステーションを訪れます。この日の参加者は13名と満員御礼で、体操が始まる前のホールはとても賑やか。顔見知りも多いらしく、あちこちで近況を話し合う声が聞こえました。
そんな中「こんにちは。寒いですね、滑らなかったですか?」と声をかけながら、慣れた手つきで血圧を測る理学療法士のS.Wさん。Wさんは2025年に新さっぽろから南郷に異動して以降、健康体操教室を担当しています。

Wさん:おかげさまで、現在20名の方が教室に登録してくださっています。参加者の中には介護認定を受けている方もいるんですけど、ほとんどが認定を受けられていない80〜90代の方です。なので、運動をすることで介護認定がつかない状態を維持し、自立した生活を目指せるような取り組みを続けています。
※現在は満員のため受付停止中
高齢になるにつれて外出の機会が減り、人との関わりが希薄になる、いわゆる「孤立」は社会問題にもなっています。また、本人に意欲があっても、そもそも活動できる場がなければ次第に社会参加の機会は減っていくものです。
リハビリや看護には「ICF(国際生活機能分類)」という考え方があります。これは、全ての人にとって「“生きることの全体像”を示す共通言語」で、運動機能やADLの状態、地域活動など、さまざまな要素が相互に影響し合うことで健康状態が維持できるという考えです。
Wさんは、健康体操教室が要素の一つである「参加」のきっかけになっていると話します。

Wさん:教室に通られる方には、遠くから歩いて来られる方もいらっしゃいます。ここに集まっている方は、高齢者の中でも意欲が高い人たちだと思うんですよね。そういった方が参加できる場を提供する形で、健康促進に関わらせてもらっているのかなと。
「ここに来るくらいしか楽しみがない」とおっしゃる方もいて、皆さんが集まれる居場所になれているのは、うれしいことですね。
参考:厚生労働省「ICF(国際生活機能分類)-「生きることの全体像」についての「共通言語」-」
無理なく継続できる体操で、次第に意識が変わっていった

健康体操では、約1時間かけてみっちり身体を動かします。ストレッチがメインですが、筋トレのメニューも含む本格的な内容です。
「カメラが入っているから緊張しているのでしょうか。今日は皆さん、足がぴったりそろっていますね」。その言葉に笑い声が上がりながらも、皆さん自分のペースでゆったりと身体を動かしている様子でした。
Wさん:体操のベースは決まっていて、腰や背中をメインに動かしています。腰を痛めてしまうと背中が曲がり、さらに膝も曲がって歩きにくくなるんです。そうなると転びやすくなり、入院のリスクも高まります。なので、正しい姿勢を意識してもらえるようなメニューを指導しています。
Wさんが担当になる以前は、座学と体操を組み合わせたメニューだったそうです。座学で正しい姿勢や運動の効果について話し、それから残りの時間で運動をするという流れでした。
ですが、実際には座学で理解が追いつかない方もいたり、運動自体も複雑な動きに対応できない方がいらっしゃったそうです。
「そこで内容をガラッと変えて、全身運動メインにしました」とWさん。ただし、教室だけでなく家でも継続できるよう、比較的簡単なメニューで構成。運動の習慣化によって健康寿命の延伸につながり、少しでも生活の中で「楽になった」と感じてもらいたいという考えでした。

言葉の通り、椅子に座った状態や寝転んだままできる運動が続き、使用する道具も皆さんが持ち寄ったタオルのみ。参加歴が長い方が多く、ほとんどが迷いなく身体を動かしています。
Wさん:ボリュームを調整しながらシフトしましたが、それでも「疲れた」「次の日に筋肉痛になった」といった声が当初はありましたね。なので僕は、「筋肉痛が生じたら喜んでください。筋肉が成長している証拠です」と言っていました。
その言葉を皆さんちゃんと覚えてくれていたので、筋肉痛を乗り越えながら継続していただき、身体が楽になったと話す人も増えました。慣れてきてからは自宅でも毎日やってくれているみたいで、運動の重要性に対する意識が完全に変わったなと思います。
生活の延長にある居場所として

体操を終えた後は、帰り支度を済ませた参加者の方をお見送り。皆さん手を振って自分の生活へと戻っていき、また来週には元気よくこの場所に集まります。
Wさんに参加者の方との交流で意識していることを聞くと、「まったくなくって」と小さく笑いました。
Wさん:ただ、僕はこの体操教室が大変とかは思ったことがなくて、肩の力を抜いてやれているな、と。参加された方が「本当に楽しい」「今日も楽しかった」「教えてもらったことをやっています」と言ってくれるので、それがやりがいになっていますね。
Wさんがラフに指導するように、参加者の方も自然体で1時間を過ごされていた健康体操教室。“教室”とはいえ特別な場というより、生活の延長にある居場所という雰囲気が、ここには漂っていました。
私たちは普段、主に利用者さまの自宅に伺うことで専門的なケアをお届けしていますが、ここではより、訪問看護と地域との距離が縮まっているのを感じます。

Wさん:訪問時間の合間に、別事業所のスタッフが教室に参加することもあります。ヒートショックの講話を開いたりですね。ありがたいことに、事業所全体で訪問のご依頼を多くいただいているのですぐは難しいですが、これからも地域への活動を広げていきたいです。
たとえば、地域で暮らす方の運動・健康への意欲を高める取り組みを計画してみたり…。今後、白ゆりで働く仲間が増えて、そうした機会も増やしていけたらと思います。
最後に
取材を終えて、予防的な観点を含めた自身の健康維持に前向きに向き合える姿勢が健康を考えるうえで大切なことだとm改めて感じました。
私たち白ゆりグループは、訪問看護リハビリステーションのほか、さまざまな介護施設を運営していますが、ほとんどが健康に不安を抱えてから利用するサービスを提供しています。
その中で、「自分らしく生活できること」のご支援をさせていただいてはいますが、病気になる前の状態を維持していく、そうした健康に対する考えの啓蒙はまだ十分とはいえません。
南郷ステーションでの健康体操教室は、今後も地域と白ゆりグループをゆるやかにつなぐ接点の一つとして活動を継続していきます。
※本記事は取材時(2026年2月5日)のもので、記載情報は現在と異なる場合がございます。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。