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看護師のキャリアプランの描き方は?「プランがない」と思ったときの考え方と選択肢

「看護師としてのキャリアプランが浮かばない」「看護師にはどんなキャリアがあるの?」と自身の将来について悩む看護師は少なくありません。
看護師の働き方は病院以外にも多岐にわたり、訪問看護やクリニックなどさまざまな道を選ぶことができます。しかし、キャリアの選択肢が広がった一方で「これから看護師としてどのようなキャリアを築くべきか」を迷う場面も増えているのではないでしょうか。
本記事では、看護師のキャリアプランを立てるメリットや実際の選択肢、キャリアプランの考え方について解説をしていきます。将来どんな看護師になりたいかを模索している方にとって、次のステップを考えるきっかけになれば幸いです。
訪問看護未経験の方もお気軽にどうぞ!
目次
看護師のキャリアプランとは

看護師のキャリアプランとは、看護師として自分が目指したい働き方や理想とする看護師像を明確にし、その実現に向けて立てる目標や計画のことを指します。
近年では病院に限らず、訪問看護・クリニック・介護施設・企業など活躍の場が広がり、勤務形態も多様化。選択肢が増えるメリットがある一方で「この先どのような道を選ぶべきか」と迷うことも多くなりがちです。
さらに、身につけたいスキルや目指す看護の方向性、ライフスタイルといった要素も複合的に考える必要があります。まずは、どのように働きたいのかを具体的に整理することが、キャリアプランを考える第一歩となります。
看護師がキャリアプランを立てる3つのメリット
看護師がキャリアプランを立てることで、以下3つのメリットが得られます。
- 将来に向けて取り組むべきことが明確になる
- 仕事のモチベーション・やりがいが向上する
- 転職などキャリア選択時の判断軸ができる
順番に見ていきましょう。
将来に向けて取り組むべきことが明確になる
キャリアプランを立てることで理想の看護師像への目標設定ができ、将来に向けて取り組むべきことが明確になります。
看護師は日々の現場で多くのことを学びますが、目標が明確でないと知識やスキルが散漫になりがちです。しかし、明確な目標があることで必要な経験やスキルが整理され、次のステップへ進みやすくなります。
仕事のモチベーション・やりがいが向上する
日々のルーティンワークに慣れてしまうと、看護師としての意義ややりがいを見失ってしまうことがあります。ですが、キャリアプランがあることで自分が進むべき方向や必要なステップがはっきりするため、同じ業務でも新たな発見や学びを見つけやすくなります。
さらに、その過程で成長を実感できるようになり、日々の仕事へのモチベーションや意欲の向上につながります。自ら立てた計画だからこそ納得感があり、前向きに取り組む姿勢を持続できるのです。
転職などキャリア選択時の判断軸ができる
キャリアアップなどを目的に転職を望んでも、なかなか行動に移せない看護師は少なくありません。日々の忙しさに追われることに加え、「キャリアアップしたいけど、何をしたらいいか分からない」と目的が漠然としてしまうことも原因の一つです。
キャリアプランを立てておくと、転職や資格取得のタイミングを判断する基準ができます。その結果、迷いや後悔が減り、自分の意思で前向きにキャリアを選べるようになります。
病院で働く看護師の主なキャリアプラン
キャリアプランと似た言葉に「キャリアパス」があります。意味を混同しやすいですが、以下のような違いがあります。
キャリアプラン:個人が描くキャリア全体の指針
キャリアパス:組織(病院)がキャリアアップまでの道筋を具体的に示したもの
キャリアパスの例としては、経験年数や研修の修了状況を基準に昇格や役割を認定することが挙げられます。多くの看護師にとっては自ら立てるキャリアプランよりも、勤務先の病院が提示するキャリアパスに沿ってキャリアを形成していく方が馴染みがあるかもしれません。
ちなみに、病院における主なキャリアプランの方向性は大きく分けて以下の3種類です。
ジェネラリスト
ジェネラリストとは、特定の専門分野に限定されず、幅広い分野の知識と技術を備えた看護師のことです。
看護師は医師のように専門分野を持って働くことが少ないため、多くの看護師がこのジェネラリストに該当します。幅広い知識とスキルにより臨機応変な対応ができ、さまざまな医療現場で重宝されます。
ただし、一年目から同じ診療科に勤務し続けるケースも少なくありません。ジェネラリストを目指すなら、病院内での異動や転職も視野に入れ、多様な経験を積む必要があるでしょう。
スペシャリスト
スペシャリストとは、特定の専門分野に特化した高度な知識や技術を持つ看護師を指します。認定看護師や専門看護師などの資格を取得するのが一般的で、皮膚・排泄ケア、感染管理、在宅看護など幅広い領域があります。
高い専門性があるため、臨床現場での実践力だけでなく、教育面でも重要な役割を担う存在です。こうした看護師が在籍することで病院全体の看護の質が高まり、結果としてより良いケアを提供できるようになります。
管理職(マネジメント)
キャリアアップの道としてよく知られているのが、管理職へのステップです。看護主任、看護部長、看護師長などが該当し、組織全体を統括するマネジメント能力が求められます。
管理職になるには、主任であっても通常10年以上の臨床経験や研修修了といった条件を満たす必要があります。さらに、各部署に配置される人数は限られているため、非常に狭き門といえるでしょう。
そのうえ、優れた能力のほかチームを導くリーダーシップや信頼される人間性も大切です。責任は重大ですが、その分やりがいも十分にあります。
認定看護管理者とは
管理職がより専門性を高める資格として、認定看護管理者があります。日本看護協会では以下に定義しています。
「管理者として優れた資質を持ち、創造的に組織を発展させることができる能力を有すると認められた者」
取得には、5年以上の実務経験かつ通算3年以上の管理職経験、日本看護協会の定める教育課程の修了、認定審査合格といった条件が必要です。難易度は高く、2024年12月時点で登録者数は5,488名にとどまります。
参考・引用:日本看護協会「認定看護管理者」
病院以外で広がる看護師のキャリア

看護師の働く場所は病院以外にも幅広くあり、看護師資格一つでも多くの選択肢が生まれています。具体的にどのようなキャリアがあるのか、ここでは「臨床経験を活かす働き方」と「資格を取得して別の専門職で活躍する働き方」にわけて解説します。
臨床経験を活かして働く
培った経験を活かしながら病院以外で働ける職場には、次のようなものがあります。
訪問看護師
訪問看護師は、自宅など地域で療養する方を訪問し症状の観察や医療的ケアを行う、在宅医療に欠かせない存在です。近年は病院勤務から訪問看護ステーションへ転職する看護師も増えており、高齢化に伴った需要はさらに拡大していくと考えられます。
訪問件数は1日に5〜6件程度。日勤のみの勤務が基本で夜勤はありませんが、交代制でオンコール対応があります。臨床スキルを活かしつつ夜勤の負担を減らしたい、日勤で働きたい看護師に人気のキャリアです。
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クリニックの看護師
診療所やクリニックで医師の診療補助を行う看護師です。病棟のように業務が分かれていないため、事務作業や医療機器の準備、掃除、電話対応など、医療事務に近い業務も担います。
入院設備を備えた診療所も一部ありますが、ほとんどのクリニックは夜勤なし・暦通りの休みが取れるため、子育て中の看護師にも選ばれやすい働き方です。
介護施設の看護師
老人ホームやデイサービスなどの介護施設で、利用者の健康管理や医療的ケアを行います。業務内容は医療行為だけでなく、入浴介助や食事介助などの介護業務も含まれます。
一部の施設を除いて医師が常駐する必要がなく、看護師は1施設あたり2~3名と少人数体制なため、急変時の対応力や判断力が求められます。
夜勤の有無や勤務形態、業務内容も施設ごとに大きく異なるのが特徴です。
産業看護師(企業看護師)
企業に所属し、社員の健康診断や生活習慣に関する指導、メンタルヘルス対策などを行う看護師です。職場におけるメンタルヘルス対策の重要性の高まりから、職場のストレスチェックやカウンセリングに関わることもあります。
保健師資格があると有利ですが、看護師資格でも就業可能です。
健診センターの看護師
健康診断の検査や介助を担当する看護師の主な業務内容は以下の通りです。
- 問診の実施
- 血圧、身長、体重、視力測定
- 聴力検査
- 尿検査
- 採血
- 心電図検査
健診センターの業務はルーティンワークが中心です。1日あたりの検査件数も多いため、正確かつスピーディーな業務遂行能力が求められます。
資格を取得しほかの専門職として働く
新たな資格を取得し、看護師から別の専門職として活躍する道もあります。
保健師
保健師は地域の住民に必要な保険サービスを提供する専門職で「保健師助産師看護師法」に基づく国家資格です。看護師資格取得後、保健師国家試験に合格することで取得できます。
保健師は働く場所により4つの職種があります。
- 行政保健師(地域の保健所や保険センター)
- 産業保健師(民間企業)
- 学校保健師(学校)
- 病院保健師(病院やクリニック)
保健師は必要条件を満たすことで養護教諭1種・2種の免許取得も可能です。取得後は養護教諭へステップアップし、学校で保健教育に携わることができます。
助産師
助産師は保健師と同様に「保健師助産師看護師法」に基づく国家資格で、妊娠から出産、産後まで母子を支援する専門職です。看護師資格取得後に助産師養成課程を修了し、国家試験に合格することで取得できます。
勤務先は病院やクリニックの産婦人科、助産院、市区町村の母子保健分野など多岐にわたり、助産所の開業も認められています。産科医不足の影響もあり、需要は年々増加傾向です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャーは介護保険制度に基づき、要介護者とその家族の希望や状況に応じたケアプラン(介護サービス計画書)を作成・調整する専門職です。
資格取得には介護・医療・福祉分野での一定期間の実務経験と「介護支援専門員実務研修受講試験」の合格が必要になります。
勤務先は居宅介護支援事業所や介護施設、地域包括支援センターなど幅広く、超高齢化社会の進展に伴って需要が増え続けている職種です。
キャリアプランがないと悩む看護師へ|考え方とヒント

「キャリアを考えたいけれど。どこから始めればいいか分からない」と悩む看護師に向けて、キャリアプランを描くための5つのステップを紹介します。まずはできることから始めてみましょう。
自己分析で自分の特性・強みを知る
キャリアを考える第一歩は「自分を知ること」です。まずは自己分析をして、自分自身について振り返ります。
【自己分析で整理できること】
- 強みや弱みといった自身の特性
- 看護師を志した理由
- これまでの経験でうれしかったこと/辛かったこと
- 得意/不得意な分野
これまでの看護師人生全体を振り返ることで自分を客観的に捉えることができ、キャリアの方向性が明確になります。自己分析が難しければ、自身の経験やスキルを箇条書きするだけでも十分です。
今の職場の良い点・不満を洗い出す
今後のキャリアプランを考える上で、現在の職場を多角的に評価することも大切です。以下の項目を基に、現在の職場の環境を整理しましょう。
- 労働環境面
- 夜勤の頻度
- 残業時間の有無
- 通勤時間
- 人間関係、組織風土
- 上司や同僚との関係性
- チームワーク
- 相談のしやすさ
- 待遇面
- 給与や賞与
- 福利厚生の内容
- 研修や教育体制
- 業務内容
- 担当業務の内容
- スキルアップの機会
- 専門性を活かせているか
具体的な項目ごとに分析を行うことで、自分にとって転職や異動の際に譲れない条件や、改善したいポイントが見えてきます。
その結果、次のステップに進むための判断基準が定まり、より納得のいく選択ができるようになります。
情報収集をする
自己分析や現在の職場の評価の後は、気になる働き方について情報収集をしましょう。調べていくうちに自分が知らなかった職場や職種、活かしやすい資格が見つかる可能性があります。
【情報収集の方法】
- 先輩看護師に相談する
- Webサイトや求人情報を確認する
- 転職サイトに登録してエージェントから情報を得る
意欲が高い場合は、先輩看護師に話を聞くのが有効です。同じようにキャリアに悩んだ経験を持つ人からの情報は有益で、実体験ほど信頼できるものはありません。
転職意欲が低いときは、Webサイトを眺めながら少しずつ調べていくのも方法の一つです。
キャリアの方向性がはっきりしていれば、エージェントから情報を得る方法もあります。非公開求人や最新の転職動向にも詳しいため、気になる情報があれば深掘りしてみましょう。
短期目標から行動してみる
自分が思い描く看護師像が見えてきたら、それに向けて目標を設定しましょう。
最初から大きすぎる目標を掲げると挫折しやすいため、まずは「3カ月以内に○○の研修を受講する」など半年~1年単位の短期目標を設定し、小さな行動から始めることをお勧めします。
目標は状況や経験によって変化するものです。達成できたら都度振り返り、目標を修正しながら前進することが、理想のキャリアへの近道となります。完璧を目指さず、できることからコツコツ進めることが大切です。
職場見学会やセミナーに参加して視野を広げる
キャリアプランが固まってくると、気になるキャリアの選択肢がいくつか出てくるはずです。興味のある職場で見学会を実施していたら気軽に参加してみましょう。
現場の雰囲気を肌で感じることで、働く姿を具体的にイメージしやすくなります。まだ転職を決めていなくても、実際に働くスタッフの声を聞ける機会は貴重です。
また、外部セミナーへの参加も新たな知識や刺激を得ることができます。最新の知識を取り入れることで新しい目標が生まれることもありますし、セミナー講師の経歴を参考にすることで自分のキャリア設計にも活かせます。
訪問看護師としてのキャリアを「白ゆり」で始めてみませんか?
北海道札幌市・函館市に展開する「訪問看護リハビリステーション白ゆり」では、スタッフの約8割が訪問看護未経験からスタート。
入社後の教育プログラム(オリエンテーションや同行訪問)を通じて訪問看護の基礎を学び、病棟での経験を活かしながら地域医療を支える専門職として活躍しています。
疑問や不安な点も相談できる仕組みやサポート体制が整っているため、安心して挑戦できる環境です。
実際に、病棟から訪問看護へキャリアチェンジした看護師のインタビューはこちら ↓
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まとめ
看護師のキャリアプランの描き方や実際の選択肢について解説しました。
看護師のキャリアは選択肢が多く、迷いやすいものです。だからこそ、まずは「自分はどんなふうに働きたいのか」を言語化し、客観的に自分を振り返ることが大切です。小さな一歩でも少しずつ積み重ね、着実に理想の自分に近づいていきましょう。
また、在宅領域で専門性を発揮できる訪問看護というキャリアも、柔軟な働き方や新しい挑戦を考える看護師にとって有効な選択肢です。
この機会に、訪問看護師としてのキャリアも考えてみませんか。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。