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利用者さんの生活向上を目指して。理学療法士が在宅を選び、成長を続ける訳とは

利用者さんの生活向上を目指して。理学療法士が在宅を選び、成長を続ける訳とは

白ゆりでは訪問看護師だけでなく、多くのリハビリスタッフが活躍しています。

今回お話を伺った理学療法士のIさんは、病院から訪問看護へと転職し、利用者さんの「生活を良くするリハビリ」に真摯に向き合う一人です。

これまでの経験を通じて培った仕事の軸や在宅で得られるやりがい、そして看護師との連携の大切さについてお届けします。


訪問看護リハビリステーション 白ゆり 桑園出張所所属 R.Iさん
2023年4月1日入社 理学療法士として従事し、札幌市・西区のご利用者さまを担当

2分でわかる!白ゆり訪問看護の働き方

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訪問リハでの気づきを胸に。ステップアップを目指した転職で白ゆりを選んだ理由

——白ゆりに入職する前の経歴を教えてください。

大学を卒業後、市内の総合病院に6年ほど勤めました。急性期や回復期病棟、がん、緩和ケアのリハビリなど、幅広い経験をさせてもらいました。

その病院では訪問リハも行っていたため、5年目のときに訪問リハビリにも挑戦しています。

——前職の病院で、訪問リハビリを経験して感じたことは?

病院では退院後の生活を想定した指導をしていましたが、実際に家に帰ってどんな生活を送っているかを知る機会がなかったんですね。僕の指導がどう役立っているかを知りたいと思ったのが、在宅に関わるきっかけでした。

それから実際に訪問してみると、想像と全然違っていて。病院で指導した内容が使われていなかったり、別の方法で生活されていることもありました。

病院では動けたのに帰ったら何もやらず状態が悪化した方もいれば、病院で改善しなかった方が自宅だと安定するケースもあって、在宅の多様さを実感しました。見通しの甘さに気づかされた経験でしたね。

——白ゆりに転職したきっかけや背景は?

転職を考えた理由は2つあります。

まず、自分のスキルアップのために新しい環境でのリハビリを学び、当時勤めていた病院以外の人とも交流を持ちたいという理由です。

あとは待遇面の向上です。この2点を満たせる転職先を探した中で、白ゆりが一番条件に合っていました。給与面もそうですが、職場の雰囲気の良さやスタッフ間での話しやすさにも魅力を感じましたね。

——訪問看護では、どのようなリハビリを行うのでしょうか?

対象は主に80〜90代の高齢者で、脳梗塞やパーキンソン病、転倒で骨折してしまった方などが多いです。

依頼としては、歩行中に転びやすくなった・ふらつきが気になるといった内容が多く、家では問題なくても、外出時の歩行や近所のスーパーまで行ける体力づくりを目的にされる方もいます。

あとは、ご家族から「運動させてあげてください」といった依頼でしょうか。これらがほとんどを占めていますね。

リハビリではまず身体の評価を行い、歩行の問題点が何かを分析します。「なぜ転ぶのか」「スピードが遅いのか」「1人で歩けない理由は何か」を見極め、状態に応じたトレーニングを組んでいきます。

トレーニングは、ストレッチ・筋トレ・バランス訓練のほか、日常生活動作訓練や歩行訓練などが中心です。歩行距離や時間を測りながら、どこまで体力をつけていくか目標を設定して実施します。

手すりや平行棒の設置をケアマネジャーさんに依頼することもありますが、テーブルや壁などの自宅環境を活かしたリハビリが基本です。限られた環境で工夫してリハビリを行う点は、専門職としての腕が問われますね。

在宅で実感したやりがい。理学療法士として大切にしている3つの軸

——訪問看護で、理学療法士として働くやりがいは?

病院でもそうですが、やはり利用者さんの生活がリハビリを通じて向上していくのを実感できたときに、もっともやりがいを感じます。

身体の状態が良くなることで生活の幅が広がり、できなかったことができるようになったり、行きたかった場所に行けるようになる。その方の希望が実現できると、僕もうれしいです。

——やりがいを感じた具体的なエピソードはありますか?

難病を抱える60代の方のリハビリに入ったときのことです。

その方は、何かに掴まったり背もたれがないと座れず、起きる・立つといった動作も一人では難しいので、ご家族の介助が常に必要でした。ですが、四六時中の介護により、ご家族も腰を痛めるなど介護の負担が大きくなっていたんです。

そこで僕は、まずご家族に適切な介助方法を指導をしました。

ベッドと車椅子間の移動、トイレ時の介助、起こし方・立たせ方について、「この動きは本人に任せても大丈夫ですよ」「力加減は少し弱めてみましょう」と伝えることで介助がスムーズになり、負担も軽減されました。

ご家族から「すごく楽になりました」と言っていただけたときは、本当にやりがいを感じましたね。

ちなみにその利用者さん、今ではご家族の介助なしで風呂・トイレ・近くの店まで買い物もこなせるようになり、職場復帰に向けてリハビリを継続中です。この方のリハビリは、個人的に手ごたえのある経験でした。

——ご本人だけでなく、ご家族のことも考えてリハビリをするんですね。

ご家族と同居されている場合は、本人だけでなく介助者の体調も重要です。ご本人もご家族も無理なく生活を続けていくために、何を大切にすべきかも考えながらリハビリに取り組んでいます。

利用者さんとの写真

——理学療法士として大切にしている価値観やスタンスは?

3つあります。

まずは、利用者さんの生活を良くすることを諦めないこと。維持期(生活期)のリハビリは現状維持が目的とされることが多いですが、僕は可能な限り改善を目指したいと思います。

病気の種類や年齢によっては状態維持を目指すことも大事ですし、難しいです。けれど、維持を前提に関わるより「良くしたい」という意思でリハビリをすることで、より良い結果につながると信じています。

2つ目は、利用者さんには敬意を持って接すること。どんなに知識や技術があったとしても、信頼がなければ何もできません。

信頼の前提にあるのが、利用者さんの人生や価値観に敬意を持つことです。そのため、僕は常に敬語で接し、丁寧なコミュニケーションを心がけています。

3つ目は、利用者さんらしさを常に尊重すること。例えば「手すりを付けましょう」「デイサービスを増やしましょう」といった提案をするときも、こちらの理屈だけでなく、その方の価値観や生活背景を含めて検討します。

最終的に判断するのは利用者さん自身です。こちらの期待とは違う答えが返ってきても、「それがその人らしさ」と捉えることが大切だと思いますね。

——訪問看護で働くリハビリ職に求められることは?

ジェネラリストであることだと思います。病院と比べると、訪問看護は多様な疾患に対応する場面が多いため、幅広い知識と対応力が必要です。

在宅では、利用者さんの些細な体調変化にも気づける視点やリスク管理力も大事なので、ジェネラリストとしての働き方が求められます。

あとは、福祉用具の知識も必要です。利用者さんの家という限られた空間の中で、家具の配置変更や福祉用具の導入によって過ごしやすい生活環境を整える工夫が求められます。

手すり一つとっても色んな種類がありますから、知識はもちろん発想力も必要だと思います。

看護師との連携が支える在宅ケア。学び合い、信頼される存在へ

仕事に励むIさん

——白ゆりの特徴の一つに看護師とリハビリ職の連携の強さがあります。実際に働いてみて、看護師との連携で感じたことは?

入社以来ずっと桑園で働いていますが、白ゆりの看護師さんからは「利用者さんの生活を良くしたい」という熱意を感じます。

事務所にいるときも話題のほとんどは利用者さんのことで、「今日の体調はこうだった」「次に起こりそうな変化を予測して、どう対策するか?」といった話はもちろん、ご家族の考え方や生活状況なども踏まえて、利用者さんの生活をどうプロデュースしていくかを日々話し合っています。

こうして密に連携することで、異変が起きても慌てず対応できるようになり、結果として質の高いサービス提供につながっていきます。

僕自身も、看護師さんとの会話は刺激的で楽しいです。看護師さんの視点が加わることで、利用者さんへのアプローチが多角的になり、お互いの専門性を活かしながら連携できていると実感しています。

——看護師とリハビリ職で、お互いに学び合える環境があるんですね。

そうですね。訪問看護では、看護師さんがリハビリを行う場面もあります。例えば、女性希望の利用者さんや、リハビリを入れるほどではないけど運動は必要な要支援の方などが多いです。

そのため、看護師さんにリハビリの知識を共有し、より専門的な指導に役立ててもらっています。

逆に、僕たちリハビリ職も看護師さんから多くのことを教わっています。皮膚トラブルや薬の副作用のレクチャー、状態から考えられる疾患など、さまざまな医療知識を共有してもらっています。

リハビリ職には看護的な視点を、看護師にはリハビリ的な視点を持ってもらうことで、より専門的なサービスを提供できると思います。こうして学び合える関係性があることは、白ゆりの大きな強みです。

——今後の目標やステップアップしたいことがあれば教えてください。

「成長したい」という思いは常にあります。実際にリハビリをしていても、想像していたゴールに到達できないことや効率が悪く時間がかかってしまうこともあり、自分もまだまだだなと感じています。

これからも日々勉強しながらリハビリの質を高めていきたいですし、白ゆりの中だけでなく地域の方や外部のケアマネジャーさんからも「この人に任せれば安心」と言っていただけるようになることが今後の目標です。

その結果、白ゆり全体のリハビリの質向上にも貢献できたらと思っています。

——最後に、訪問看護に興味があるリハビリ職の方にメッセージをお願いします。

訪問看護のリハビリは、利用者さんの生活が良くなっていく変化の過程を間近で実感できるやりがいのある仕事です。

利用者さんの暮らしに関わりたいと考えている方には、訪問看護でのリハビリは向いていると思います。

中には、「やっぱり病院に戻りたい」と思う方もいますが、それでも在宅を経験することで、退院後の生活をより具体的にイメージできるようになるはずです。

僕にとっては「リハビリ職全員が一度は在宅を経験した方がいい」と思うくらい、病院では得られない視点や知識が学べる環境があります。

少しでも興味があれば、ぜひ訪問看護に挑戦してみてほしいです。

白ゆりリレークエスチョン:夏の暑さ対策どうしてる?

「笑顔で、むすぶ、おもてなし」から考案した職員同士でむすぶリレー企画の第九弾です。今回は、中央事業所・Nさんの質問に答えていただきます!

札幌・中央事業所・Nさんのインタビュー:迷いながら始めた訪問看護。周囲の支えと学びの中で見つけたやりがい

——夏の訪問時の暑さ対策を教えてください。

【Nさんのコメント】
日々、訪問看護はクーラーのない利用者さんのお家も多く、暑さで大変なので、何か対策していることがあれば教えてほしいです!

ありきたりで申し訳ないんですけど、水分補給です。夏は1日に大体2ℓは飲んでると思います。あと、汗っかきなんで、汗拭きシートを常備し、利用者さんの訪問が終わったらなるべく綺麗にしています。

——NEXT:苦手だったけど克服したこと・ものはありますか?

辛い物が苦手なんですけど、奥さんが辛いもの好きで一緒に食べているうちに若干克服しつつあります。他の人の苦手なものや、それを克服したエピソードがあったら聞いてみたいです。

※本記事は取材時(2025年7月4日)のもので、記載情報は現在と異なる場合がございます。


白ゆりでは一緒に働く仲間を募集中です

訪問看護リハビリステーション白ゆりでは、地域医療を一緒に支える訪問看護師・理学療法士・作業療法士を随時募集しています。

  • 在宅医療の現場に興味がある
  • 自宅で療養する利用者さまの生活を支えたい
  • 主体性を持って働く仕事がしたい

など、訪問看護に興味のある方は、ぜひ職場見学会にご参加ください。皆さまのご応募をお待ちしております。

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編集部

訪看オウンドメディア編集部

訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。

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