訪問看護のこと
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訪問看護が時間内に終わらない理由は?経験の浅い看護師に伝えたい原因と対策

訪問看護に慣れていないうちは、「決められた時間内に業務が終わらない」と悩む看護師も多いのではないでしょうか。
訪問看護は利用者の自宅でケアを行うため、病院勤務とは異なる難しさがあります。中でも、限られた訪問時間内での業務遂行は、経験が浅いうちは大きなハードルになることも。
しかし、決められた時間でケアを提供するのも訪問看護師に求められる重要なスキルです。本記事では訪問看護が時間内に終わらない原因を明確にし、今日から実践できる具体的な対策を解説します。
また、訪問看護リハビリステーション白ゆりで実施している業務効率化の取り組みについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
2分でわかる!白ゆり訪問看護の働き方
目次
訪問看護が時間内に終わらないとどうなる?

訪問看護の予定時間をオーバーしてしまうと、利用者や家族に迷惑がかかるだけでなく看護師自身にも影響が及ぶ可能性があります。ここでは、時間超過によって起こるリスクについて見ていきましょう。
次の訪問に影響する
予定時間を超過すると、その後のスケジュール全体に影響が及びます。多くの場合、訪問看護師は1日に複数の訪問をこなしているため、1件の遅れが積み重なることで、次の利用者への訪問が遅れてしまいます。
交通事情など避けられない理由もありますが、極力決められた時間内でケアを完了させることが大切です。
利用者や家族の印象が悪くなる
何度も訪問時間をオーバーしてしまうと、利用者や家族から「時間にルーズな看護師」といった印象を持たれかねません。これは看護師個人だけでなく、訪問看護ステーション全体の信頼にも関わる問題です。
利用者や家族との信頼関係が損なわれると、サービスの質に対する不安や不満につながり、最悪の場合、契約解除に至る可能性もあります。
看護師自身の負担につながる
時間内に終わらない状況が続くと看護師自身に焦りが生まれ、時間を気にするあまり本来の丁寧な看護ができなくなるおそれがあります。
また、「自分は訪問看護に向いていないのでは」と自信をなくしてしまうケースも少なくありません。
さらに、記録業務が後ろ倒しになり、残業が常態化することで身体的・精神的な負担が増し、モチベーションの低下や離職リスクの上昇につながるでしょう。
時間内にケアが終わらない原因とは?
訪問看護で時間をオーバーしてしまうには、いくつかの共通した原因があります。ここでは、多くの訪問看護師が直面する原因を解説します。
経験不足による時間配分のミス
仕事に慣れないころは、各ケアに必要な時間の見通しが立てづらく、実際の所要時間を正確に見積もるのは簡単ではありません。「これくらいで終わるだろう」と思っても、予想以上に時間がかかってしまうことも珍しくはないです。
また、自宅環境でのケアでは物品の取り回しなども時間のロスにつながりやすく、経験の浅さが効率性に影響を及ぼすこともあります。
急な体調変化への対応
バイタルサインの異常や皮膚状態の悪化など、訪問中に利用者の状態変化を確認した場合、予定外の観察や処置が必要になります。
これによりケアが延長されるだけでなく、医師や家族への報告・説明といった業務が増えることで、全体のスケジュールに影響が出ることもあります。
このような予期せぬ体調変化は事前に計画するのは難しく、どんなに準備をしても時間超過の原因となりやすいため、適切な対応力と柔軟性が求められるでしょう。
突発的なアクシデント
訪問中の急な来客や利用者からの追加要望、または精神的な不安に対する相談など、想定外の出来事が時間を圧迫することがあります。
看護師として無下に断るのが難しい場面も多く、親身になって対応するあまり気づけば大幅に時間をオーバーしていたというケースも、よくある原因の一つです。
会話の切り上げが難しい
利用者とのコミュニケーションに慣れないうちは、会話が長引きやすいです。例えば認知症の方とのやり取りでは、会話のペースがゆっくりで情報収集に思いのほか時間を要するケースも少なくありません。
また、利用者や家族が話好きで会話が止まらない、介護方針などの相談が長引いた際には、途中で話を切り上げにくく、結果として訪問時間が延びてしまうこともあります。
記録作業に時間がかかる
訪問看護はケア後の記録作業が必須ですが、不慣れなうちは要点をまとめるのに時間がかかりがちになります。
記録作業に時間を要すると次の訪問に影響が出るほか、残業の原因にもつながってしまいます。
移動の遅れ
訪問先への道順が不明確だったり、冬道や渋滞などの地域特有の事情があると、移動時間の見積もりがずれてしまいます。初めて訪問する先では特に注意が必要です。
あらかじめ余裕を持ったスケジュールを組み、ナビの利用などで対策をとりましょう。
訪問看護を時間内に終わらせるためのコツ

訪問看護を時間内に終わらせるには経験を重ねることが最も重要ですが、実践的なコツを知っておくことで、時間の使い方が改善されます。
ここでは、訪問看護師が実際に行っている工夫を紹介します。
訪問前に時間配分とケアの流れをイメージ
訪問前には指示書やケアプランを確認し、各ケアにかける時間をあらかじめイメージしておきます。その際は、できるだけ細かく配分を考えるのがポイントです。
例:60分の訪問/入浴介助の場合
所要時間 | 内容 |
5分 | バイタル測定、全身状態の観察 |
5分 | 入浴介助の準備 |
20~30分 | 入浴介助 |
10分 | 更衣、後片付け |
10分 | 記録作業、相談など |
ケアの項目が多いほどシミュレーションは効果的。優先順位が明確になりやすく、時間が足りなくなった際にも迅速な判断が可能になります。
また、イレギュラーな対応に備えて予備時間を設けておくと、急な出来事にも落ち着いて対応しやすくなるでしょう。
こまめに時間を確認する
訪問中は腕時計や室内の時計を活用し、時間配分が予定通り進んでいるかを随時チェックしましょう。ただし頻繁に時計を見すぎると、利用者や家族に「早く帰りたがっているのでは」と不快感を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。
さりげなく時間を確認するために、記録用タブレットを見るタイミングや室内の時計の位置を把握する際など、自然な流れで確認するのも方法の一つです。
万が一時間が押している場合は、残り時間でできることを素早く判断することが重要です。こうした意識づけが、効率的かつ信頼される看護の提供につながります。
失礼なく話を切り上げる
利用者や家族との会話が長くなりそうなときは、適切なタイミングで丁寧に切り上げる姿勢が大切です。「申し訳ありません。次の訪問がありますので、今日はこのあたりで失礼します」と、素直に状況を伝えましょう。多くの方は理解を示してくれます。
また、その場で答えられない相談を受けた場合は、「その件については事務所に戻って確認してから、改めてお答えしますね」と一度持ち帰る対応も有効です。
相手の気持ちを尊重しながら明確かつ誠実に伝えることで、関係性を保ちつつ時間管理もしやすくなります。
記録や移動時間を効率化する工夫を取り入れる
訪問の合間や移動中などの隙間時間を上手に活用し、記憶が鮮明なうちに記録を進めておくとスムーズです。例えば、訪問中に大事な数値やキーワードをタブレットにメモしておくことで、後からの記録がしやすくなります。
また、移動時間を減らすためには、事前にルートや所要時間を確認しておくことが重要です。時間はプラス10分ほど多めに見積もっておきましょう。
初めて訪問する先の場合は、地図アプリの活用や駐車場所の下調べをしておくなどの事前準備をしておくと安心です。
訪問看護が時間内に終わらなかった場合にやるべきこと
訪問時間を超過してしまっても落ち着いて適切な対応を取ることで、次以降の訪問先への影響を最小限に抑えることができます。焦らず、利用者への配慮を忘れずに行動することが大切です。
ここでは、時間オーバーが発生した際の対応と、再発防止のための改善策について紹介します。
次の訪問先への影響を確認、連絡を入れる
時間が押してしまった場合、まずは次の訪問先への到着見込みを確認し、間に合わないと判断した際は速やかに連絡を入れましょう。
その際、「少し遅れます」と曖昧な連絡ではなく、
「前の訪問で緊急対応が必要となり、15分ほど遅れる見込みです。15時30分には到着できるかと思いますが、お待たせして大変申し訳ありません」
といったように、具体的な理由と到着時刻を伝えることがポイントです。誠意ある丁寧な連絡をすることで、利用者や家族からの信頼関係を維持することができます。
必要に応じてケア内容や滞在時間の見直しを行う
利用者の状態変化などにより、計画していたケア内容では対応しきれないケースがあります。明らかに現状と滞在時間が見合わないと感じたときは、担当のケアマネジャーに状況を報告し、訪問時間や内容の見直しを検討しましょう。判断に迷う場合は、上司に相談するのも手です。
他職種と連携しながら調整することで、利用者にとって最適なケアの提供が可能になります。訪問の質を保つためにも、柔軟な対応と密な報告、相談の習慣が大切です。
時間管理に悩む訪問看護師に伝えたいこと
訪問看護の現場では、予想外の出来事やイレギュラーな対応がつきものです。すべてを予定通りに進めるのは簡単ではなく、状況に応じた判断力や柔軟な対応力が求められます。
こうしたスキルは最初からあるものではなく、さまざまな利用者のケアを経験をすることで徐々に身についていくものです。
時間内に終えられなかったからといって、自分を責めすぎる必要はありません。迷ったときは先輩看護師に相談しながら、一歩ずつ成長していきましょう。
そして何よりも重要なことは、時間が多少オーバーしてしまっても、利用者の安全と満足を最優先に考えて最後まで丁寧に対応することです。誠実な姿勢は必ず相手に伝わり、信頼関係の構築につながっていきます。
未経験でも安心して成長できる白ゆりの取り組み
訪問看護リハビリステーション白ゆりでは、現場で働く看護師が無理なく時間管理ができるよう、業務の効率化とサポート体制の整備に力を入れています。
具体的な取り組みは以下の通りです。
- スタッフ全員にタブレットを支給。訪問先や移動中にもスムーズに記録が行える環境を整備
- 電話やチャットツールでリアルタイムに相談が可能。訪問中や訪問後も相談がしやすい
- 未経験の処置やケアは先輩スタッフが事前に同行し、1人での訪問は実践指導を受けてからスタート
これらの取り組みにより、訪問看護未経験の看護師でも不安なく成長できる環境が整っています。
白ゆりでは共に地域医療を支える仲間を募集中です
訪問看護リハビリステーション白ゆりでは、地域で療養する利用者さまを支える訪問看護師・理学療法士・作業療法士を募集しています。
- 在宅医療の現場に興味がある
- 利用者さまの「暮らし」に寄り添ったケアをしたい
- チームで連携しながら主体的に働きたい
そんな思いをお持ちの方は、まずはお気軽に職場見学会へお越しください。事業所の雰囲気をご覧いただけるだけでなく、仕事内容についても詳しくお伝えいたします。
また、参加者には2,000円分のクオカードをプレゼントしています。 見学会の三かは応募前提ではありませんので、「まずは雰囲気を見てみたい」という方も大歓迎です。
皆さまのご参加を、スタッフ一同お待ちしています。
採用情報はこちら
👉 訪問看護リハビリステーション白ゆり採用サイト(札幌・函館)
職場見学会のお申し込みはこちら
👉 職場見学会お申し込みフォーム
まとめ
訪問看護で時間内に業務が終わらないのは、経験の浅い看護師にとって珍しいことではありません。
時間配分の見積もりミスや利用者の状態変化、予期しないアクシデントなど原因はさまざまですが、事前準備や時間配分の工夫、記録や移動の効率化など、現場で実践できる対応も多くあります。
時間を超過しても、冷静に対応しながら少しずつ改善を重ねていくことが大切です。経験を積み重ねていけば時間管理のスキルは確実に上達するので、焦らず前向きに取り組んでいきましょう。
訪問看護師向けに、以下のような記事も掲載しています。こちらもご覧ください。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。