訪問看護のこと
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訪問看護の休み事情|休みがないは本当?無理なく働ける職場の見つけ方も伝えます

「訪問看護はやりがいがある反面、休みが取りにくい」というイメージをお持ちではありませんか?
これは、病院から訪問看護への転職を考える多くの看護師に共通する不安の一つです。病院とは異なる働き方から、プライベートと両立ができるのか悩む方も多いでしょう。
この記事では、訪問看護は「休みがない」と言われる理由と実際の休暇事情を紹介します。また、無理なく働ける職場を見つけるためのポイントも合わせて解説するので、自分に合った働き方を見つけるヒントにしてみてください。
訪問看護未経験の方もお気軽にどうぞ!
目次
訪問看護は休みがない?実際の休日事情

訪問看護は一般的に、平日の日勤帯(月〜金または月〜土)で訪問業務を行います。そのため、基本的な休みは土・日曜、あるいは土・日曜、祝日と規則的に取得できます。
ただし、オンコール当番により時間外の対応もするため、すべての土日祝日が休めるというわけではありません。
看護師の平均所定年間休日との比較
病院で働く看護師の年間休日の平均は117. 2日です。多くの病院は週休2日制ですが、シフト勤務が中心のため休日が不規則になる傾向があります。
一方、訪問看護ステーションでは完全週休2日制を採用している場合が多く、祝日休みであれば年間休日が約120日となります。祝日出勤がある事業所でも、夏季休暇などの制度を取り入れることで、年間110日以上の休日が確保されているケースが多く見られます。
こうして比較すると、訪問看護では平均的な病院の休日数と同等、もしくはそれ以上の休みを確保できていると言えるでしょう。固定休みなのでプライベートの予定が立てやすいことが、訪問看護の魅力の一つでもあります。
参考:日本看護協会「2024年 病院看護実態調査 報告書」
なぜ訪問看護は「休みがない」と思われるのか?
訪問看護に「休みがない」という印象を持たれる主な理由は、以下の2点にあります。これらにはさまざまな要因が関係していますので、詳しく説明していきます。
・ 急な休みや連休が取りにくいため
・ 土日が完全に休みとは限らないため
急な休みや連休が取りにくいため
訪問看護では利用者への継続的なケアが求められるため、訪問の曜日や時間が固定されています。そのため、休む際には他のスタッフに代替対応をしてもらうなどの調整が必要になります。
しかし、その調整が難しいために、急な休みや長期休暇が取りにくい傾向にあるのが現状です。要因として以下の2つが挙げられます。
看護師の代わりが利かない
訪問看護では、「受け持ち制」と「チーム制」といった看護体制を採用しています。
受け持ち制は特定の看護師が継続的に同じ利用者を担当することで、きめ細やかなケアができるメリットがある一方、ケアが属人的になりやすく、急な休みが取りづらいデメリットもあります。
難しいのが、単に代わりの看護師を立てれば済む話ではないということです。医療依存度の高い利用者や「いつもの看護師さん」に対する信頼が厚い利用者に対して、ケアの質と信頼関係を頼みながら代替してもらうのは、なかなかハードルが高くなってしまいます。
一方、チーム制は受け持ち制より看護師同士でのカバーがしやすくなりますが、その分の人員確保が必要になるため、調整が難しいという点では変わらないでしょう。
【関連記事】
訪問看護の受け持ち制・チーム制の違い|メリット・デメリットについても解説
訪問スケジュールの調整が必要
訪問看護では、利用者の生活に寄り添った綿密な訪問スケジュールが組まれています。このスケジュールは通常、数週間前から1カ月前に計画し、利用者やケアマネジャー、他職種との調整を経て確定します。
そのため看護師が休暇を取得する際には、すでに組まれたスケジュールを変更しなければならず、ケアマネジャーと通して利用者や家族に日程変更を相談する必要があります。
しかし利用者の中には、他のサービスとの兼ね合いや家族の都合から時間や曜日の変更ができない場合もあり、調整は決して容易ではありません。
また、看護師1人が訪問できる件数は限りがあります。別日に変更するにしても以降のスケジュールが埋まっていてなかなか変えられないというケースもあり、1日の休暇でも多くの調整作業が発生します。
こうした休暇に伴うスケジュール調整の複雑さと労力が、訪問看護師が「休みにくい」と感じる要因の一つとなっているのです。
完全に土日休みとは限らない場合もある
訪問看護ステーションでは、原則として土日休み(もしくは土日祝休み)とされている場合が多いですが、実際には形式上の休日であっても業務が発生するケースがあります。そのため、完全に休めるとは言い切れないのが現状です。
具体的には、オンコール対応や休日の訪問によって、実質的に勤務している状態になることがあります。
オンコールの対応
ほとんどの訪問看護ステーションでは緊急時対応を行っているため、土日祝日でもオンコール待機が発生します。
オンコールとは、緊急時に備えて自宅などで待機し、利用者から連絡があれば必要に応じて駆けつける体制のことです。基本的には交代制で行われますが、人員規模によっては月数回から十数回担当するケースもあります。
オンコールの呼び出しがない日や電話対応のみで解決する場合も珍しくありませんが、「いつ呼び出されるかわからない」という精神的な緊張感から、待機中も十分に休んだ気持ちになれないこともあるようです。
【関連記事】
訪問看護のオンコールとは?内容や頻度、事例についても解説
休日の訪問
オンコールとは別に、あらかじめ予定された休日の訪問が必要なケースもあります。たとえば、医療処置の都合で毎日の訪問が必要な場合や、本人・家族の希望により土日訪問が組まれる場合などです。
この場合、形式上は休日でも、実際には勤務が発生することになります。事業所によっては、休日訪問に対して振替休日や手当を支給するなどの対応を取っているため、事前に確認しておくと安心です。
訪問看護は協力し合うことで休みを確保している

ここまでの内容を読み、「訪問看護は休みが取りにくいのでは?」と不安に思われた方もいるかもしれません。
訪問スケジュールとの兼ね合いで休暇の取得には調整が必要ですが、有給休暇は法律上の権利であり、原則として申請すれば認められるものです。常識的な範囲であれば、休みが取れないという状況は基本的に考えにくいでしょう。
ただし、訪問看護は一人一人の看護師が利用者に対して責任を持って関わるため、休暇取得時には他スタッフとの引き継ぎやスケジュール調整が不可欠になります。
そのため、多くの訪問看護ステーションでは、スタッフ同士が協力し合いながら業務を補い合う体制をとっています。看護の質を維持するためにも、チーム全体で柔軟に対応することが求められます。
こうした背景から訪問看護への転職を考える際は、「お互いさま」の意識やチームで支え合う姿勢が大切だということを理解しておくとよいでしょう。
無理なく働きやすい訪問看護ステーションを探すポイントは?
訪問看護に転職する以上、スケジュールの調整は避けて通ることはできませんが、調整のしやすさや情報共有の体制が整っているかどうかで、働きやすさは変わってきます。
見学や面接時に、以下の視点から職場環境を確認してみましょう。
チェックすべき項目 | 確認ポイント |
---|---|
休日の制度 | 年間休日数や有休の取得状況などを |
オンコールの体制 | 当番の頻度や手当の金額 |
訪問件数 | 1日4〜6件が目安。件数が多すぎないか確認 |
移動距離・手段 | 訪問エリアの広さ、移動にかかる負担。交通費支給も確認 |
残業について | 残業の平均時間、残業代の支給状況 |
スタッフの体制 | スタッフの人員バランス、フォローし合える体制か |
ICTツールの活用 | 記録や連絡にICTを活用し、業務の効率化がされているか |
上記は一例ですが、これらの内容を加味して総合的に判断することが重要です。「ここなら無理なく働けそう」と感じられることが、何より大切な判断材料になります。
訪問看護リハビリステーション白ゆりの休日事情
弊社の休日事情については、以下の通りです。
○ 土・日曜および祝日は基本的に休みで、年間休日は120日
○ オンコールは交代制で月2~4回程度(毎月ではありませんが、土日の待機当番があります)
○ 祝日に訪問を行った場合、所定数を満たした上で手当を支給(半日13,000円/1日26,000円)
○ 祝日も訪問が必要な利用者さまには、当番制で対応しています
なお、緊急訪問や祝日出勤に対する代休制度は設けておりませんが、比較的高水準の手当を支給しております。
白ゆりでは、「休日出勤が一切ない」というわけではありません。これは、利用者さまに安心して療養生活を送っていただくために必要な体制であり、スタッフ間で相談しながら当番を調整しています。
また、ICTツールの活用による業務効率化や、急な休みにもスタッフ同士で協力し合いながら柔軟に対応するなど、無理なく働き続けられる職場環境づくりに取り組んでいます。
白ゆりについて「もっと詳しく知りたい」と感じた方は、ぜひ職場見学会へお気軽にご参加ください。
訪問看護リハビリステーション白ゆり|訪問看護師の採用情報
・1日のスケジュール
・給与の詳細
・職員インタビュー
・職場見学会の案内 など
まとめ
訪問看護に「休みがない」と言われる背景には、オンコールやスケジュール調整の難しさなどさまざまな要因があります。
メリット・デメリットがありますが、各事業所ではスタッフが働きやすいようできる範囲の工夫を凝らし、安楽な在宅生活を提供できるよう努めています。
これらの実情を踏まえ、自分のライフスタイルや価値観に合った職場を選ぶことが、長く安心して働くための第一歩です。訪問看護への転職前には、ぜひ複数の視点から職場環境を確認してみてください。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。