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病院からキャリアチェンジした看護師が見出す訪問看護の真意とは
病院で学んだことを活かしながら、より知識を深めたい。自身のキャリアを考えて選んだ訪問看護の現場は、Wさんにとって学びのある環境でした。
今回は、看護への前向きな姿勢と経験・知識を評価され、2024年7月に南郷事業所の管理者となったWさんにインタビュー。病院での経験が活きた場面や、やりがいを感じたエピソード、訪問看護師を目指すうえでの大切な考えについて触れていきます。
訪問看護リハビリステーション 白ゆり 南郷所属 W.Mさん
2021年2月1日入社 2024年7月より南郷事業所の所長を務める。
訪問看護未経験の方もお気軽にどうぞ!
目次
知識欲の先にあった訪問看護は、病院での経験が活きる環境だった
——転職するにあたって、訪問看護を選んだ理由を教えてください。
学校を卒業後、脳外科と神経内科の病棟に6年ほど勤めていました。脳外科と神経内科は大体がほかの病気の合併症を抱えた方が多く、そのため広く浅い知識はあったのですが、違う病気に関しても知識を深めたいと思って…。病院内での移動の目途が立たなかったので、いままでの経験を活かせる訪問看護を選びました。
——訪問看護といってもたくさんの事業所がありますが、白ゆりに決めた理由はありますか?
決め手は職場の雰囲気が明るいことと、同世代が多く働いていたことですね。ほかの事業所も検討していましたが、職場内のコミュニケーションが難しそうだなという印象を受けました。
私よりもずっと年上の看護師が多く、その中で働けるイメージがつかなかったんですよね。白ゆりは自分が働いているイメージがつきやすかったので、ここに決めたという感じです。
——先ほど「いままでの経験を活かせる訪問看護を選んだ」とおっしゃっていましたが、どういった点が経験を活かしやすいと感じましたか?
私がいた病棟では、家での生活を目指したいけど入退院を繰り返してしまって難しいという患者さんが多かったんです。実際、訪問看護に関わるような退院調整やサービス調整もしていたので、その面で経験を活かせたと思います。
訪問看護の現場に関わったことで、いままでやってきた部分の応用を知ることができたという感じでした。
——特に経験に繋がったなと感じた出来事はありましたか?
お家で過ごしたいと思いながら、病院に入院している方のケアがスムーズにできたことですね。
訪問看護では当たり前の医療機器は、基本的に病院では使わないんです。なので、病院から白ゆりに入ったスタッフの中には初めて触る人も多かったと思いますが、私は病院にいるときから在宅の医療機器を使っていたので問題なく対応できました。そこは自分の中でもすごく良かったと思っています。
「家に帰りたい」。その望みに応える訪問看護のやりがいと難しさ
——訪問看護は手技などの技術面以外に、利用者さんとのコミュニケーションの難易度が高いと思いますが、そういった面で病院との違いは感じましたか?
病院は治療が目的になるので、患者さんが正しく治療を受けられるためのサポートがメインになるんですけど、訪問看護では、利用者さんが望んだ生活を叶えるためにサポートすることが目的になるので、関わり方も大分違うと感じました。
あとは生活の違いですね。病院は限られた空間での生活を治療メインで支援しますが、訪問看護は朝起きるところから夜寝るところまで、その方の生活の全てがわかっていないと信頼関係を築くことは難しいです。
——そういった違いや難しさを感じつつも、訪問看護を続けていく中でどういった点にやりがいを感じましたか?
以前、状態が厳しい方の家に帰りたいという望みを叶える支援をしたことがあります。
訪問看護では一時的に病院から家に戻り、また再入院するお看取りに近い方もいらっしゃいます。私が関わった方は家に帰ることがかなり厳しい状態で、病状的にも良くないですし、支援体制も完璧ではありませんでした。ですが、訪問看護を入れてほかのサービスも使いつつ、何とか調整をしてその利用者さんを家に帰してあげることができたんです。
すでにお亡くなりになってしまったんですけど、望んでいた一回だけでも家に帰れたことで、ご家族から「なんとか1回でも帰ってこられてよかったです。頼んでよかったです」と感謝の言葉をいただき、そのときに「やってよかったな」とやりがいを感じました。
スタッフの悩みを汲み取るためにできることは?
——Wさんは今年(2024年)に平岡から南郷へ異動し、南郷のリーダー兼管理者という職務を任されることになりましたが、仕事に対しての考え方など変化はありましたか?
南郷に異動したことで担当の利用者さんも変わり、まずはどんな方かいらっしゃるのかを知ることから始めました。さらに管理業務も平行して行っていたので、ここ最近はちょっと慌ただしい日々を過ごしていましたね。
また、南郷はサテライトの平岡よりもスタッフの人数が多く業務の幅も広いので、全体を見ていけるよう意識を変えなきゃと思いました。
——全体を見ていくために、具体的に工夫していることはありますか?
スタッフの中には、困りごとがあっても「直接相談するほどでもない」と思ってしまう人もいるので、こちらまで声が届かないことがあります。
そういうとき、例えば利用者さんの情報などを拾って全体の状況を確認し、表面化していない悩みをなるべく把握するように気をつけていますね。そのうえで、「もっとこうしたほうがいいんじゃないか、こうすればほかのスタッフも働きやすくなるんじゃないか」と全体を考えてアドバイスをしています。
ただ、南郷はスタッフの数が多く、私一人ではすべてを拾いきれないので、コミュニケーションを取りつつ聞こえたところから確認することを意識しています。
訪問看護とは、その人の望む生活を支えるということ
——最後に、訪問看護に興味がある、または就職を考えているという方に対して、メッセージをお願いします。
訪問看護に興味を持ったきっかけとして、病院だと患者さんと一対一で話す時間が取れないとか、訪問看護だとゆっくりコミュニケーションが取れるという理由の方が多いと思います。そういうきっかけで興味を持ってくださることはすごくうれしいです。
ただ、一つ。興味を持ったときに考えてもらいたいことが、訪問看護の目的は「その人が望む生活をできるように支える」ということです。確かに訪問看護は病院よりも患者さんと深い関わりを持つことができますが、その分やらなければならないことが病院よりも多いですし、それだけ責任が重くなると私は考えています。
利用者さんと対面で話すことだけを想像するのではなく、例えば、身近にいるおじいちゃんやおばあちゃんが病気になって、それでもお家で生活したいと言ったときに自分だったら何をしてあげられるか、どういうサポートをすれば生活がしやすくなるのか。そういうイメージを持ちながら訪問看護について調べてもらえると、より理解がしやすくなるんじゃないかと思います。
——訪問看護はコミュニケーションが目的ではなく、その方の生活を維持するための手段としてコミュニケーションを用いるということですね。大変ですけど、それがまた楽しいのかなと思います。
そうですね。また、訪問看護は色んな方と出会うことができます。1人の方が望む生活を送るために、たくさんの人が関わっているということを実際に学ぶことができるので、在宅は今までの病院とは違った考え方を吸収できる良い場だと思います。ぜひ、訪問看護に挑戦してみてください。
白ゆりリレークエスチョン:自己管理で工夫していることは?
「笑顔で、むすぶ、おもてなし」から考案した職員同士でむすぶリレー企画の第二弾です。今回は、発寒事業所のAさんの質問に答えていただきます!
発寒事業所・Aさんのインタビュー : 訪問看護で大切なのは信頼関係という下地。看護師が語る奥深さ
【Aさんのコメント】
体調面での自己管理をどうしているか聞きたいです。訪問看護は訪問のスケジュールが事前に決まっているので、休むときは調整する必要があります。休めないわけではないですけど、できれば体調不良で突発的に休みたくない。なので、なにか工夫していることがないか教えてください!
自己管理、なるほど。そんなに趣味でストレス発散とかないんですけど…、土日とかに何も予定のない日をつくって、ひとすらゴロゴロして寝ています。起きている時間の方が少ないくらい(笑)。
——NEXT:冬の車移動の乗り越え方を教えてください!
冬の運転って大変じゃないですか?冬の訪問で気をつけていることとか、駐車スペースをどうしているかとか、常備しているものはあるのかとか。車が埋まっちゃうこともあるので、その都度どう対応しているか気になります!
※本記事は取材時(2024年10月17日)のもので、記載情報は現在と異なる場合がございます。
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編集部
訪看オウンドメディア編集部
訪問看護師として働く魅力をお伝えすべく、日々奔走する白ゆりのWebメディア担当。
ワークとライフに役立つ記事を中心に、訪問看護に関するさまざまな情報を発信しています。